2017年12月31日

2017年作品鑑賞まとめ 文芸作品編

引き続き、今年の作品鑑賞文です。いつもと同じく、読んだ本について、漫画とは分けてお送りします。
今年は慌ただしくてなかなか本を読む時間がとれず、読んだ冊数は昨年よりずっと少ない、再読含めて70冊。うち新規は56冊で昨年と同じくらいなので、新刊ばかり一所懸命追って読んでたことになりますね。つまり年間50冊以上本を買ったり借りたりしているということか……。
ここでは新規の中から、私が今年特に心に残った作品をいくつか選んで紹介します。ルールは以下。
ちょっと流行に乗り遅れていることもあります。
ネタバレがあることがあります。作者敬称略。
以上ご了承ください。


*小説

『お節介屋のお鈴さん』(堀川アサコ)
ファンタジーコメディーミステリーホラーと盛り沢山。独居老人、セクハラ、教師バッシングなど社会問題もするっと入ってきます。
杜の都仙台を舞台に、強気な幽霊お嬢お鈴さんが、ごく普通の銀行員カエデを捕まえ振り回し様々な事件に首を突っ込ませます。
ぼけぼけ系ヒロインのカエデは無意識に人を傷つけてしまうところもあるのが、可愛らしくもリアルでとっつきやすいです。お鈴さんは私の大好きな強ヒロイン。恋敵の末裔が早産しそうともなれば、それまでの恨みつらみも放り投げ、家の前に地下鉄を召喚して助けちゃうくらいお節介で気風が良い。(このシーンかっこよくてとても好きです)カエデの彼氏こんちゃんは癒し、泰平さんと貸本屋もとても素敵。キャラクターがとにかく魅力的なのです。
現実問題は解決できる範囲で、という加減が絶妙です。(地下鉄召喚除く)
お鈴さんの衣装がくるくる変わるお洒落さにも注目です。

『嘘つき女さくらちゃんの告白』(青木祐子)
今年一番の衝撃作でした。女の、作家の、業という業を凝縮したような、最後まで鳥肌の立つ作品。
盗作疑惑のイラストレーターを負い、その遍歴を本にするために彼女の知人をあたって取材をする。それによってイラストレーター「sacra」さくらの嘘の数々が明らかになっていくが……。
おそらくさくらにとって全ては「嘘」ではなくて、彼女の中で「そういうことになっている」のだろうなと思ってしまう。それを顔と体で裏付けられるのだとわかってしまっている。すぐ嘘だとわかりそうなものなのにたくさんの人が騙されてしまうのは、「こんなにきれいな子が悪いわけない」と信じたいものを信じてしまうからでしょうし。さくらの行動が計算によるものなのか、そういう悪癖なのかわからないところがまた怖い。
自分では何も作らないし考えないさくらが自分のことを「0から黄金を生み出す」と言ってしまうのが、怖いのだけど気持ち悪くはなくて、寧ろどんどん惹かれて行ってしまうのは、さくらに堕ちた男たちや「才能はあるけどさくらほど美しくないと思ってしまった人たち」の心境に近いのかしら。
ラストには圧倒されました。なんて巧みで、なんて屈託ないんだろう。その瞬間の鳥肌を気持ちいいと思ってしまったら、この作品にドМにされていると思います。

『装幀室のおしごと。〜本の表情つくりませんか?〜』(範乃秋晴)
昨年から「本に関わる仕事」の作品に注目して読むことが続いていましたが、装幀は初めてでした。
本の中身に合わせたものか、確実に売れるものか。読者が手に取らなければ本は存在しないも同じなら、強い印象を与えて手に取らせる装幀がより有利で確実な「商品の売り方」かもしれない。そのほうが本は存在していられるのかもしれない。でもやっぱりそれだけじゃ中身との違いが出てしまって「作品」としての存在は欠けてしまう。
主人公わらべちゃんの「作品主義(売れるよりも作品を表現することが大事、でも売れなきゃ本は生き残れない)」と巻島さんの「商品主義(まず手に取られないと意味がない、けど作品を蔑ろにしているように見える)」がぶつかるバトルかと思いきや、わらべちゃんは作品の世界を愛し、巻島さんは作品を作り出す人を大切にしようとしていたことが徐々にわかってきます。わらべちゃんの装幀は作品と読者への愛で、巻島さんの装幀は作家と作品への愛。
互いに知らない間に「装幀」を通じてファンレター、あるいはラブレターともいえるかもしれない、そんな想いの送り合いをしていたのだということがわかった瞬間に、泣けて仕方なかったです。
本を通じて繋がる物語、本当に好きですね。本の装幀が愛しくなる作品です。

『百貨の魔法』(村山早紀)
装幀のお話を読みましたが、本作の装幀は本当に美しいですよ。イラスト、フォント、そしてカバーを外したところまで細部にわたってこだわりが感じられる、まさに逸品。今年最も飾っておきたい本です。
斜陽の百貨店で働く人々、その人生を描いた作品。長くないのではといわれる中小の、地元に根差した百貨店(呉服店が始まりというのはよくあるタイプ)を題材、舞台とするならば、近年なら「画期的なアイディアで売り上げを伸ばす」「経理関係など財務の見直しによって経営を立て直す」「ひらめきと人望で社内を奮起させる」などといったサクセスストーリーが流行しそうなものです。世の中のいわゆる働いた「結果」に着目する人々には、もしかしたらそのほうがうけるのかもしれません。
しかし本作は、その場所と町の人々の暮らしの過去や現在を、いかに心の面から豊かにするかということ、相手を喜ばせることこそが働くこと、そして居場所を守るということの本質であるということを、複数の人間の目とコンシェルジュ結子さんの「幸福な」人生を通して描いています。
人の生き方、人情、つながり、そして「人の手で成しえる夢」に希望を見出す人にはとても温かく優しく接してくれる物語だと思います。
私が本作を読んでいるとき、ちょうど「ウルトラマンはどうにもならないときにしか来ないものだから、そう頼りすぎるものじゃない」ということが話題になっていました。(日本人のヒーロー観が云々、という話に対する反論じゃなかったかな)この百貨店に現れる「金目銀目の白猫」は、それに似ているなと感じました。自分で叶えられるところは全力で取り組んで、どうしようもないもの、過去の変えられないものには夢を見せる。そんな「ある程度諦めることを知った大人の夢」に、本作は寄り添ってくれます。
しかし福利厚生が手厚く、従業員みんなが仕事が好きで、いつも笑顔が溢れている……職場として究極の理想で、とても眩しく感じました。そういうお店なら、お客さんもストレスフリーでいられるだろうな。

『活版印刷三日月堂 海からの手紙』『活版印刷三日月堂 庭のアルバム』(ほしおさなえ)
昨年、シリーズ一作目『星たちの栞』を挙げましたが、今年出た続きの二作も素晴らしかった。
川越の活版印刷工場を訪れる人々と、そこの店主である弓子さんの物語。
『海からの手紙』は「見えないものをかたちにすること」がテーマになっているように思いました。特に「あわゆきのあと」は号泣。いない子を、会ったことのない子を「名前」というかたちであらわす。たしかに存在したんだよという証明みたいだと思いました。両親の悲しさ、特にお母さんのつらさも心に刺さって。ちょうど自分でも、いなくなってしまった子供の話を書いていたので、重ねた部分もありました。
『庭のアルバム』では「仕事への向き合い方」も書かれていたのかな。「チケットと昆布巻き」や「川の合流する場所で」はそれが濃く出ていたように思います。そして、弓子さんのお母さんの生きた足跡も。「死んでしまった人」ではなく「生きていた人」だったんだ、ということを確かめるようでした。そうして三日月堂の物語に共通する「かたちとして残すこと」がはっきりしてくる。
表題作の「庭のアルバム」に、一番心に残った言葉があります。「わたしはわたし。楓もそうだよ。一生楓として生きていくしかない」。この話の語り手である楓ちゃんの、おばあちゃんの台詞です。その前に父親が「周りとちゃんとやっていけないんじゃ、どれだけ考えても意味ない」と言っていて、それが楓ちゃんの心だけでなく私にもとても刺さる言葉だったので、おばあちゃんがそう言ってくれたことで楽になったんですよね。そのかわり、自分にちゃんと責任を持つこと。これってとても大事なことだと思います。
もちろん仕事をして生活していくということは大事で、必要なことです。お金のことも考えなきゃいけません。でも、その中に自分にとって大切なものをいつでもしのばせておけるようにしたい。自分を大切にしたい。そう思わせてくれる作品でした。

『君の嘘と、やさしい死神』(青谷真未)
ボーイミーツガール。頼まれごとを断れない男の子が強がりの女の子と運命の出会いをする……と、単にこれだけではないのです。恋愛小説ではあるけれど、それよりも個人の悩みや少年少女の生き方に焦点を当てています。「記録」じゃなく「記憶」に残りたいというのは、「彼女」の忘れられたくない(生きていたい)という想いそのもの。そして彼女が残していったものが、「僕」がずっと囚われていたものからラストで解き放ってくれる。
落語を絡めたストーリーが非常に良かったです。青春に落語。こんなに切なく扱えるものなのか、と感銘を受けたのですが、よく考えたら落語だって物語なんですよね。
青谷さんの青春と恋愛の描き方が、『鹿乃江さんの左手』からずっと好きです。本作は『四月は君の嘘』を彷彿とさせました。

『ゆめみの駅遺失物係』(安東みきえ)
夢見ることにちょっと拗ねてしまった女の子が、なくしてしまった「お話」を遺失物係に捜しにいきます。大人も子供も入っていきやすい短編集。ちょっと懐かしさのある、それでいて心に沁みたり刺さったりする、私が昔から好きだった「童話」ってこうだったなと思い出させてくれる作品でした。
内容だけじゃなく、装画とフォントもすごくきれいでほっこりします。
「本当に伝えたいと思ったら、こつこつと文字に刻むしかなさそうです」この言葉にとても共感しました。主人公の女の子とは気が合ったかもしれないです。
「ずっと心にかかっていたことを物語にして、それで気持ちをひとつ終わらせる」というのはいつも私がやりたいと思っていて、たまにやっていることでもあります。なので私はこの物語に認めてもらえたような気が、勝手にしているのですよね。


*ドキュメンタリー

『紙つなげ! 彼らが本の紙を造っている 再生、日本製紙石巻工場』(佐々涼子)
どうしてもこの本を読んだ話はしたかったので、ちょっと分けてやります。読み終えたのは三月に入ってからでした。ちょうど東日本大震災から六年が経とうとしていた頃です。
ノンフィクションを読むのは、私にしては珍しいことです。(エッセイはたまに読むんですけどね)しかし本書は、単行本が出たときから読みたいと思っていて、文庫になってやっと手元に迎えることができたのでした。
物語のように流れがまとまっていて読みやすい、と感じたのですが、あの日の現実は物語よりも衝撃的だったんですよね。ずっと泣きながら読んでいました。悲しいからとか感動したからとか、そういう「他人事」みたいな涙だったことも否めないけれど、私自身があの日からの「しばらく」を思い出したのです。
2011年3月11日以降しばらくのこの国にいて、それを支えるとか言っている余裕もなく、ひたすらがむしゃらに生きるため、生かすために動いている人々がいたことを確認して、ただただ「そうだよなあ」と思いながら読んでいました。
書かれているひとつひとつの場面に手に汗握り、「良かった」と思っては涙を流し、再現された日々を映像で見ているような気持ちになりました。人々の声と文章の力を強く感じたドキュメンタリーです。


以上の9冊が、今年の私的ベストでした。
堀川さんの作品はかなり迷った……。今年最初に読んだ『おちゃっぴい』も、新撰組を描いた『月下におくる』も良かったもの。
『活版印刷三日月堂』シリーズは、例年シリーズ一作目を一度出したら二作目以降の感想はまとめに入れていなかったのを無視するくらい、一つ一つが素晴らしかった。
『紙つなげ!』は絶対に入れたかったのでどうやって入れようかというところから考えました。私自身が学生時代にインタビューの書き起こしや語りの分析などを専攻していたので当時の知識と、震災のときの記憶、現地にいないから当然わからなかったことを文章からどう受け止めたらいいのかということなど、頭から色々引っ張り出して模索しながら読みました。
『百貨の魔法』を読んだのは、ちょうど仕事を辞めて新しい場所へ向かう準備をしていた頃でした。ここまで理想的な職場には(私が接客が非常に苦手なので)出会えなくても、相手を慮って動く、ということはどこに行っても大事にしたいと思わせてくれました。また、地元には現在百貨店は存在しないのですが、かつてあった頃(もう随分昔です)のことを思い出して懐かしかったです。今はバスに乗れば百貨店や大型商業施設が多く並ぶところに40分程度で行けるようになったので、機会があって覗くたびに、従業員の笑顔に星野百貨店を想うようになりました。落としものをしたときに助けていただいたその対応に、リアル百貨店だ、などと変な感動を覚えたほどです。
『嘘つき女さくらちゃんの告白』はのめりこみましたね。恐ろしいほどはまりました。こういう人が本当にいるから、余計に怖い。まさに沼に足をとられ引き込まれる、その瞬間を体験した気がします。本作がきっかけで『幸せ戦争』も読んだのですが、これまたすごかった……。「良い人」がほとんどいなくても、読後の快感ってあるんですね。
来年も良い作品にたくさん出会えますように! すでに今から楽しみがいくつかあるのです。さて、何から読み始めようかしら。
posted by 外都ユウマ at 11:21| Comment(0) | 作品鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年作品鑑賞まとめ 漫画・映像作品編

今年全然ブログ動かしてませんでした。秋に何かやる予定も結局できないままだったので、来年に色々持ち越しです。
しかしこれは毎年の課題みたいになってきたのでやり残すわけにいかない。
まずはいつものルールです。
私が今年楽しんだ作品から選んで紹介します。なのでちょっと流行に乗り遅れていることもあります。
ネタバレがあることがあります。作者敬称略。
以上ご了承ください。


*映像作品編

『pk』
インド発、SF風宗教コメディー。インド映画らしいキレキレの踊りと歌、恋、家族愛が盛り込まれていて、とても濃い二時間半。
このご時世、そしてインドの環境で、真正面から「宗教の中のルール」に疑問を投げかけている作品です。pkは酔っ払いを表す言葉なのですが、そう呼ばれる彼(宇宙人)が地球人の宗教酔いをコミカルに醒ましていきます。
作中でもテロが起き、たくさんの人が悲しみ、憤ります。それまで宗教指導者をおちょくることでその理不尽さに対抗していたpkの、その後の台詞。
「神様は守るものじゃない。ただ信じていればいい」
他宗教の国で訴えた宗教の捉え方に、とても納得できました。
笑える程度の下ネタもあり、ほぼ緊張せずに見ることができる作品です。

『彼らが本気で編むときは、』
母親がふらっと出ていってしまったために、叔父のマキオのもとにしばらく世話になることになった、小学生のトモ。マキオには介護士をしている恋人、リンコがいた。三人の同居生活が始まるが、トランスジェンダーであるリンコを異常だと見て、良く思わない人もいるのだった。
性の事、家族のかたち、親子の関係などを丁寧に描いた作品です。全てに人と人との間の溝があって、けれどもそれをきちんと受け止めていく。マキオの「親子関係も人と人」という台詞が、じんわりと響きます。
そしてトモが、同性を好きになったことを母に咎められた同級生ケイに言った「あんたのママはたまに間違う」という言葉が、とても印象的でした。怒ることはある。悔しいこともたくさんある。でも、相手を全く否定することはしない。吐き出せなかった、我慢した気持ちは、リンコのように口に出さずに編み物に込める。とても優しい人たちでした。
リンコがあまりに自然に女性で驚きました。演技力すごい。
リンコの母の作った毛糸の偽乳が、これが作品の着想のもとだったそうなのですが、とても可愛いんです。この毛糸、リンコには自分を認めて守ってくれた母の思い出があって、トモの母には両親がうまくいかなかったという思い出があるという対比も良かったです。
どこにでもある家族の話だったんだなあ。子供が大人になりきれない大人に苦労するのがちょっとつらかったけれど、幸せなシーンは輝いてました。普通って何なんだろう、ということをとても考えました。
食事がいつもながらとても美味しそうです。美味しい食事をみんなで囲むことが、幸せの象徴なんだと思います。

『この世界の片隅に』
昨年公開された本作が、地元まで公開が追いついたのは年明けでした。初日のレイトショーを見に行ったのですが、館内のお客さんは結構泣いていましたね。
構成、演出、音楽、お芝居の全てにおいて良かった。色がついて動いて喋るすずさん、本当に生きてると感じました。
原作の漫画が我が家にあったので何度も読み返してたんですが、それでも映画は新鮮。先の効果のせいかしら。映画では原作から「普通の生活」を上手に取り出して、丁寧に描いていました。
料理シーンは粗食のはずなのにお腹が空いたし、原作ではなかった(でもおそらく一般家庭ではあったであろう)部分もちゃんとすずさんらしい。
驚いたのは絵の表現。すずさんから見る世界を、映画で描き切っている。
そしてエンディングの「その後」と、リンさんの一生の演出。どこかでは入れてくると思っていたけれど、あれは良かった。
一緒に行った母が、「普通の日々にすごく泣けてしまう」と言っていました。「普通」を愛おしくなるほど丁寧に描いてくれた作品だと思います。あの頃のすずさんの見たものを、そのまま持ってきたかのようでした。永く残ってほしい作品ですね。

『有頂天家族2』
この狸たちの物語はなんて面白いのかしら……! 熱のこもったアニメ最終回視聴後の感想が残っていたので、長いけどそのまま載せます。
アニメが始まると同時に原作(文庫版)も読みました。まず原作の身悶え度が高すぎて。全部好きなシーンといってもいいくらいなんだもの。矢一郎兄さんの結婚相手、玉瀾が読む前から気になっていたのだけれど、とてもよいお姉さんでお嫁さんなんだなあ。すごく好きなタイプのキャラクター。
クライマックスの矢一郎兄さんとの「俺は阿呆だ」「だから私がいるんでしょう」のやりとりがすごく好き。
原作のラストは、矢三郎が弁天に失恋する(狸ではだめだと認めてしまう)切ない終わり方で、それはそれで好きなのだけれど。
さてアニメ。ちょいちょい削ったり順番が入れ替わってはいたけれど、ワンクールアニメとしてまとまりが非常に良い構成の仕方でした。先述の矢一郎と玉瀾のシーンは本当に良すぎて泣いた。ありがとうございますありがとうございます。
ラストに矢三郎と海星ちゃんの許嫁復活を持って来るとは。アニメのラストとしては爽やかで良かった。原作が弁天エンドなら、アニメは海星エンドといったところだろうか。アニメ11話から12話は本当に最高でした。
そして天狗バトルですよ。二代目は原作でもアニメでもかっこよかった。そして可愛かった。赤玉先生に「強うなれ」といわれて泣くシーンがすごく好きなんだなあ。
惜しむらくは、原作できゅんとした矢三郎に「友達になれないか」と言うシーンがアニメではなかったこと。これ見たかったんだけど、アニメに入れちゃうとこれまた切なくなっちゃうから、あれはあれでいいのかな。
弁天と二代目のバトルは夏の第一戦も年末の最終戦も最高でした。原作では矢三郎視点だからかなり切なげに、激しいんだろうけれどいくらかは落ち着いて読めたのが、アニメではあの激しさ。なんてかっこいいんだろう。
呉一郎がアニメ1話から登場していたので(原作では早雲の葬式からの登場)どうするのかなと思ってたのだけど、ちゃんとまとまるものだねえ。どっちの展開も良かった。
原作とアニメ両方大好きだー。有頂天家族、いつか出る第三巻も、アニメ化するといいなあ。
アニメエンディングの弁天の物語がとても良い演出で、原作既読だと「そうかあのときの」と思えるし、アニメだけでも「今まで弁天はこう動いていたのだな」と思い返せるつくりになっていて素晴らしいのです。fhanaさんの「ムーンリバー」がかなり弁天で素敵。
milktubさんのオープニングは矢三郎というか下鴨一家だね。ほんと良作。

『宝石の国』
原作漫画を一巻が出た頃から読んでいます。この美しい線の世界を、アニメではどう表現するのだろうとかなり期待していましたが、想像以上でした。
きらきら輝く! 滑らかに動く! そしてストーリーがわかりやすい! というのも、漫画はいつも数回読まないと自分なりの理解が組み立てられなかったのです。衝撃の連続と、フォスフォフィライトの姿がよく変わるので、なかなか追いつけなかったのですが。アニメを観た後にもう一度原作を読み返したとき、すんなりと頭に入ってきたのです。アニメで読み方をおさらいさせてもらった感じです。
アニメ8話の特殊エンディングも素晴らしかった。アンタークが連れ去られるあのシーンは、初見じゃないはずなのにショックでした。
原作もみんなかなり美しいのに、それがあんなにきらきらしながら動くの、アニメの作り方が本当に凄い。語彙が追いつかない。宝石たちだけでなく、アドミラビリスや月人の質感も良かった。
あの世界の再現度の高さとキャラクターの可愛らしさ美しさ。まだまだ見ていたい!


*漫画作品編

『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴)
今年に入ってすぐの頃に、やっとまとめて読みました。聞こえてくるあらすじなどを聞く限り、きっと好みの作品だろうと思っていたのですが、遅ればせながら四巻が出たタイミングで手を出しました。
(なかなか手を出せなかったのは、昨年まで自作で集中して鬼を扱ってたから、少しでも影響を避けようとしていたためです。結論から言って、展開が読めなさ過ぎて影響も何もなく、ただもっと早く読むんだったと思っただけでした。連載開始当初から応援してる方々の熱がすごくて眩しい)
もう読んだ端からぼろぼろ泣いてしまって。だってあまりにも「慈しい」。(各所で言われてますが、このコピーすごいですね)炭治郎たちの戦いの中で、鬼たちの心がちょっと動く、あの瞬間にすっかりやられてしまったところからのスタートです。
個人的に一番ハッとしたのが鼓屋敷でして。炭治郎が床に落ちた原稿を踏まないよう避けたシーン。最新の九巻まで読んできて、たぶんあそこが最も泣いたシーンだったと思います。響凱に感情移入してしまって。彼を炭治郎が認めてくれて。(次点で煉獄さん関連かな)というか新刊が出る度に泣かされている。ギャグもキレがあってとても好きです。善逸のツッコミほんと好き。
友情、努力、勝利の超王道少年漫画。今後の展開も目が離せない!

『夜さんぽ』(木村いこ)
不安障害と呼ばれる状態があります。他人から見ればちょっとしたことが気になって怖くなったり、音や光といったあらゆる刺激に対して過敏になったりと、人によって症状は様々です(そもそも不安障害というのがとても大きい枠の呼び方なのですよね)。本作は作者である木村いこさんの、不安障害になってからの夜の散歩のお話。
読みながら何度「ああ、そうそう、こういう感じ」と頷いたことか。光刺激に敏感になったり、自律神経の不調からカフェイン中毒になってしまったり(コーヒー好きなのに)。でも時間の経過とそのあいだの支えと何かしらの楽しみや目的を持つことなどを段階的にしていって、少しずつ良くなっていくのですよね。いこさんがいろんなことを「大丈夫」になっていくにつれて、私も希望をもらったものです。
それを置いておいても、夜の散歩のわくわく感はたまりませんね。人が少ない静かな通りを、優しい光を目指して、気になるものを追いかけて、ゆっくり自分のペースで歩く。せかせか焦らず、のんびりじっくり行く。学生時代に、夜中思い立ってアパートの近くにあった歩道橋にのぼってぼーっとしてたのを、ちょっと思い出しました。ああいうの、面白いですよね。あとは冬の夜中にこっそり家を出て、町内一周してきたりとかも。人がいないから誰にも何も言われないし思われない、静かで強い刺激がない。好きなところに(行ける範囲で)自由に行ける。
漫画のふんわりとしたタッチも相まって、心に優しい作品です。

『さめない街の喫茶店』(はしゃ)
夢の中の街「ルテティア」にある喫茶店「キャトル」で、お菓子やおつまみ、軽食、たまにお酒などを作る。そうしているうちに、現実のことを、そうだったはずのことを、ゆっくりと思い出せなくなる……。
ごはんを作って街の人にふるまったり、逆に料理を教えてもらったり。主人公スズメの日々は穏やかに過ぎていくけれど、それが夢だということはわかっている。ところどころで思い出す現実のことも、だんだんぼやけてくる。
優しくほのぼのとしているのだけれど、このままだとスズメはどうなるのだろう? なんてふと考えてしまう。
好きな小説の挿絵で見て以来、偶然再会した作家さんでした。(『三ツ星商事グルメ課』シリーズ、2014年のまとめで取り上げてます。オススメ!)以前から絵柄は可愛くて、食べ物の絵は美味しそうだったけれど、本作ではさらに温かな(それでいて少し不安な)ストーリーがあって、非常に私好み。食事を丁寧に作って美味しそうに食べる作品は良いですよね。お酒もあるのがさらに良い。レシピを見るのも好きです。
いろんな想像ができる舞台設定とストーリー、そのラスト。カバー裏はきれいで切ない。
「居心地が良すぎる」街での、ゆったりとした時間を過ごしていると、美味しい朝食とコーヒー、おやつが欲しくなること間違いなしです。私も翌日忙しいのにしっかりコーヒーを淹れてしまった……。
何度でもルテティアに飛び込みたくなる、非情に中毒性の高い作品です。


以上、映像と漫画でした。メディアミックス入れたので、小説も入ってますね。
このほか、ドラマスペシャル『地味にスゴイ!DX』もとても面白かったです。えっちゃん素晴らしい。『校閲ガール』は昨年取り上げましたが、原作もドラマも本当に良いです。
『夜さんぽ』は不安障害持ちの助力でもありました。漫画そのものも面白いのに、精神的にかなり救ってもらってます。
『彼らが本気で編むときは、』はそのすぐ後に『リリーのすべて』を観て、改めて心と体の性について考えさせられました。そのうえ『チョコレートドーナツ』も思い出したりして。
『有頂天家族』に対する熱が凄まじいですね。アニメではカットされてしまった部分は脳内再生だ。あの狸たちにまた会えるのを楽しみにしています。
今年は結構映画を観る機会があったのですが、環境が変わったので来年は少なくなるかも。でも良いものはなんとか探してきて、観て考えてを続けていきたいです。
posted by 外都ユウマ at 11:17| Comment(0) | 作品鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年12月29日

2016年作品鑑賞まとめ 文芸作品編

今年の作品鑑賞まとめ、後編は「文芸作品編」です。今年新規で読んだ冊数は52冊、再読を含めても81冊と、昨年よりも読むペースがゆっくりになり、少なくなりました。しかし内容が濃かった。「ものをつくり届けるということ」に意識を向けた時期があって、全く別の作品同士を重ねて読むことがありました。映像作品と合わせて、「仕事観」に影響があった年かもしれません。
その中からいくつかご紹介。「私が今年楽しんだ作品」です。著者敬称略お許しください。


『葉桜の季節に君を想うということ』(歌野晶午)
前置きとは別の方向から。弟に貸してもらった作品です。薦められなければ絶対に読まなかったであろうジャンルでしたが、だからこそ終盤に驚きました。
任侠、探偵、性と様々なことに首を突っ込む主人公に、私は全く好感が持てなかったのです。やってることが最低で、そもそも犯罪で。
ですが頭の中で描いていたもの(私は読んでいるものを想像でアニメやドラマとして再生する癖があります)が、終盤に来て一気に描きかえられる、小説という媒体ならではの構成にはしてやられました。
人によるのでしょうが、文庫ラスト70ページの技が面白いです。……と言ってしまうのもネタバレかも。
弟曰く「絶対に最後からは読むな」。他にも歌野さんの本貸してもらいましたが、単純に話の好みでいえば『春から夏、やがて冬』が好きではあります。

『ランチ探偵』『ランチ探偵 容疑者のレシピ』(水生大海)
同じ作家さんの作品ばかり一気に集めて読む「祭り読み期」が度々訪れます。今年は水生さん作品がそれでした。(過去に香月日輪さん、村山早紀さん、坂木司さん、堀川アサコさんでやってます)
そのちょうどいいタイミングで『ランチ合コン探偵』が文庫化&続編刊行。嬉しや!
不動産会社勤務のOL、彼氏探し中の麗子さんと超ミステリーオタク(?)ゆいかさんが、お昼休み+時間有給の二時間で合コンをして相手の話す謎を解き明かす。メインとなるミステリーは人間の心理に重点が置かれているのかしら、私が内心抱えているあれやそれまで暴かれそうで楽しい怖さ。鋭い観察眼をもつ容赦のないゆいかさんと、ときに行き過ぎる彼女を抑えつつ最終的には同じ思いに辿り着くこともしばしばな麗子さんのコンビは絶妙です。
加えて毎回登場する料理の数々、唾液腺が刺激されるんですよね。どれも美味しそうで。『容疑者のレシピ』の肉が特に良い……肉食べたい……ビールと一緒に……。

『少女たちの羅針盤』(水生大海)
続けて祭りいきます。こちらはデビュー作、の私が読んだのは文庫版です。読んでいるものを脳内映像再生する私の癖を、素直に怒涛に衝撃的に発揮させられた作品でした。
私は「少女」が好きです。その時代にある儚さと図太さ、純粋さと残酷さにぞくぞくするのです。
本作では演劇に情熱をかけ、しかしボタンの掛け違いとすれ違いが重なって崩れていく少女たちの物語と、過去の罪を暴こうとする存在に脅かされる女優の物語が並行し交差します。この構成もすごく好き。次に彼女らを待ち受けるものは? 罪を犯したのは誰? そして「死んだ」のは? 人の心のどろどろとした部分が明らかになっていくごとに、息を呑んでは吐き、涙しました。
キャラクターも魅力的です。四人の演劇少女が織りなすバランスが美しく、それが崩れていく様に興奮しました。
続編である『かいぶつのまち』は、こちらを踏まえるとところどころで切ない気持ちにさせられます。

『ブランコ乗りのサン=テグジュペリ』(紅玉いづき)
先述の通り、私は少女が好きです。加えまして少女たちの痛みを伴う執着と成長にも心惹かれます。こちらの作品にはそんな少女の魅力を年初めから見せつけられました。
舞台は少女サーカス、主人公たちは曲芸子。演者であり人間の少女としての覚悟、愛、執着が咲き誇る花のように艶やかに描かれています。少女の世界の残酷さと舞台の世界の華やかな闇に震えました。
歪に真っ直ぐな少女たちの物語で、私が最も心惹かれたのは猛獣使い「カフカ」の章でしたが、おそらくここに学校という要素と個人への執着があったからだと思います。華やかさの裏を知ってなおも人形であり続けた「チャペック」が特に好きです。
花の命の彼女達に拍手喝采。Twitterがきっかけで出会った物語でした。良い出会いだった。
こういう出会いができるということは、感想は違えど、好みの傾向は似通っているんでしょうね。

『大奥の座敷童子』(堀川アサコ)
ところでこういう少女も好きですよ。時は黒船来航のさなか、弱小藩野笛藩から大奥の部屋子となった少女イチゴの目的は、座敷童子を探すこと。可憐かつ勇気と逞しさを見せるイチゴちゃん、肝の座り具合はやはり堀川さん作品の女の子ですね。
予言村シリーズの奈央ちゃんも『三人の大叔母と幽霊屋敷』で好奇心そのままに突っ走っていくスーパーヒロイン(ヒーローかも)の様を見せつけてくれてとても好きです。
話は戻って『大奥〜』は、私が今まで知識として知っていた大奥とは別の側面を見せてくれる作品でもあります。双六遊びの場面などはコミカルほのぼの大奥。ですが読むにつれその裏に不文律と怪談、そして女の情念執念をたっぷり感じられるので、それがまた良い。座敷童子という不思議と政治を裏で操ろうとする大奥の女の思惑のリアルさが同居しているあたりが、私が堀川さんの作品を好きな所以の一つです。

『人生はアイスクリーム』(石黒敦久)
私、おじ姪も好きなんですよ。この距離感が最高です。こちらの作品、翻訳家の宗太とその姪ジルの物語なのですが、ただ叔父と姪が仲良しなだけじゃないです。SFであり、私の生き方のサイクルみたいなものを言葉にしてくれた作品なのです。
読むこと、書くこと、食べることで生活の永久機関ができる、というところに私がすとんと落ちました。まさにそうやって生きているじゃないか、としみじみ感じる。読書は体験だけれど、読む人が解釈することによってその本がもつ元の意味は一旦「殺される」。けれども読書は孤独な行為で、人によって「殺し方」が違う。それがとても納得出来てしまったのでした。
SFと死生観、人生観が程よくミックスされて心地よい。続きを読むためにもう少しだけ生きてみる、の積み重ねで生きている。私が抱えていたものが言語化されたと思いました。変な言い方ですが、私が死にたいと思ったら手を伸ばす作品です。

『小説の神様』(相沢沙呼)
そして、必死に書いて生きる人がいる。自分の世界を愛し、大切にし、断絶を見たときに猛烈な痛みと苦しみに襲われながらも、言葉を物語にして誰かに手を伸ばそうとしている人たちがいる。
こちらの作品には「ものづくり」をして発表していく全ての人の心の叫びが込められているような気がします。
私は趣味で物書き遊びをしているだけの一般人ですが、雨のように降り注いでくる主人公一也の感情が、一端でも通じてしまって、だからこそ彼の作品を好きな人たちの言葉のうわべじゃない優しさに場所を気にせず号泣してしまいました。人の優しさに触れるたびに心は動いて、それをくれるのが小説で、誰かの言葉に誰かが救われる。それが染み入ってたまりませんでした。今年一番泣いたかな。
昨今の出版事情や本の流通事情については、この作品に触れる前に情報が色々と入ってきていました。これはお話の中だけのことじゃない、としみじみ思い胸が締め付けられました。
けれども幸せな未来を望み目指すからこそのこの作品だと思います。ああ作中作が読みたい。こちらもTwitterで出会えた作品です。

『桜風堂ものがたり』(村山早紀)
誰かが言葉にした思いを、届ける仕事があります。悲しい涙ばかりではなく、幸せな気持ちを人々に届けようとする、「本を巡る人々」がいます。こちらの作品はそういう書店員さんの物語。そして届けたいものや伝えたいもののために、日々を頑張る人々へのエールでもありました。
一冊の文庫新刊を見出しながらも長く働いた書店を去ることになった主人公一整君。その気持ちを受け継ぐように、しかしながら自分たちでも作品に幸せを見た書店員一同が本をより多くの人々に届けるために動く。そして一整君も新たな居場所(と書いて書店と読むのかな、彼の場合)に辿り着き……。という、まさに希望と情熱にあふれた「リアルな」書店員さんたちの物語です。
みんなが「この本を売る」という強い意志を持って行動している姿が、ちょうど作品を読み始めた頃になげやりになっていた私に、糖衣の薬のような効果をもたらしてくれました。
「命を生きること」、響きました。情熱を遠巻きに見ていた私の背中を叩いてくれました。
大きな絵に淡い絵の具を塗り重ねるような、多角的で層の厚い構成が好きです。彼らの続きを楽しみにしています。

『活版印刷三日月堂 星たちの栞』(ほしおさなえ)
こちらは思いを、人に寄り添い共に形にしてくれるお仕事。心に思いを抱えているけれど、それを上手に出すことが難しい人々の気持ちを、その人の物語を、活版印刷という影にして残してくれる。そんな川越の印刷所「三日月堂」を巡る作品です。
ごく普通の人の記憶や想いに優しい目で焦点を当て、印刷所の弓子さんと関わって語られる、自然に沁みていく物語。全編通して「喪う切なさ」が漂っていても、それでも悲しくはなりませんでした。『小説の神様』風に言えば「人間が書けている」のだろうし、『桜風堂ものがたり』の「涙は流れるかもしれない。けれど悲しい涙ではありません」がこの作品にもしっくりくる。なんだか今年触れたたくさんの物語の総括のようだなと思って、今年の鑑賞文の最後に持ってきました。登場する少女たちの心の機微も良かったのです。少女以外の登場人物ももちろんですよ。
肉体の死と解版された活版、残る思いと残り続けるインキと活字の影の対比がとても美しいのも良かった。『銀河鉄道の夜』を何度も読み返した一人としても感動しました。伏線が全体を通してパズルのように組み上がっていくので、ミステリーのような読み方もできて面白かったです。


今年は以上を選んでみました。好みが非常にわかりやすく出ただけに、絞るのが難しかったです。おじ姪なら『魔法使いのハーブティー』(有間カオル)も良かったしなあ。厳密には先生と弟子だけど。お仕事ものは流行っていたこともありましたが、積極的に読んでいました。
何のためにやって誰の役に立つのか、という自分の仕事への迷いを読書を通じていくらか切り拓くことができたと思いますし、また環境が目まぐるしく変わって疲れてしまい生きるのをさぼろうとしたのを読書によって動かせたこともあります。
今年の読書のテーマは「生きること」と「情熱」だったかもしれない……と、読書ノートを見返してみて思った次第です。
来年も、たくさんの素晴らしい作品に触れ、こうして「好き」を書き散らすことができればいいですね。そのためにもうちょっとだけ、生きるのを頑張ってみてもいいかなと思えるのです。読んで、書いて、それからちゃんと食べなくては。これって入力と出力と充電だなあ。なんて。
ここまでお付き合いいただきありがとうございました!
posted by 外都ユウマ at 21:31| Comment(0) | 作品鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年作品鑑賞まとめ 漫画・映像作品編

2016年も暮れですね。年をとると時間が経つのがあっという間ですね。
こんにちは、外都ユウマです。すっかり年末恒例となりました「作品鑑賞まとめ」、今年も「漫画・映像作品編」と「文芸作品編」の二部構成でお送りします。

こちらは「漫画・映像作品編」ですが、昨年までとは少々趣向を変えます。今年は何せ、映画やドラマやアニメに強い衝撃を受けた年でした。
今年公開された映画でまだ見ていないもの(田舎なもので……)もたくさんあるので、それは来年のお楽しみにしておきます。ひとまずは今年のお楽しみを。
「私が今年楽しんだもの」ということで、とっくに有名な作品ばかりです。作者敬称略お許しください。


*漫画編*
今年は漫画から。噛めば噛むほど美味しい四作品。

『ゴールデンカムイ』(野田サトル)
言わずもがなですね。サバイバルとかグルメとかアイヌ文化とか、注目度が高い作品だとは知っていましたが。
まさか私好みの変態がこんなにいるなんて最高ですね。さっそくすみません、遠巻きに見て面白い分にはある種の変態はとても好きです。そもそも友人から作品を薦められたときに「殺人鬼がいっぱい出る」ということで、面白そうだとは思っていたのです。
先に挙げた人気のポイントももちろんですが、私はとにかく多種多様な変態が見られるところが好きですね。あとアシリパちゃんかわいい。変顔含めてかわいい。かっこいいおっさんたちも良いです。

『蟹に誘われて』(panpanya)
今年出た新刊『動物たち』と以前に読んでいる『枕魚』が面白かったので、既刊ですが入手できていなかった本作にもやっと手を付けました。
描かれる街並みのリアルさと、不思議な造形の動物たちや人物(?)がシュールで、眺めているだけでも気持ち良くなります。この発想はどこから、そしてどこへ向かうのか……と息を呑み舌を巻きどうやって呼吸していたのか忘れます。
あまりぎゅうぎゅうに建物が詰まった場所を歩く機会はなかったはずなのに(せいぜいが学生の住むアパート街でしょうか)なんだか懐かしくなるのです。

『とつくにの少女』(ながべ)
少女シーヴァとせんせの暮らしと、分かたれた世界の謎が絵本のように描かれている、とても美しい作品です。せんせの造形がとても好き。シーヴァをせんせがとても大切に思っていることが切なくてさらに好き。
絵のタッチから物語、大人と子供の関係までも、丸ごとストライクでした。
このまま動き出しそうですよね。きれいな音楽か草木や風の音をつけて、アニメにしながら読んでいました。どんな展開でもただ静かに見守っていたい。
シーヴァはもちろんのこと、せんせをはじめとする人外のかたちをした者たちもかわいい。

『雨水リンダ』(HERO)
手芸部が作りだした「人形」は、心を持っていた。HEROさんの描く甘酸っぱさと苦みのある青春が好きで、特に本作は怪奇の要素が加わっているとても好きなお話。手元にあるとついつい読み始めます。読んだ瞬間「今年のまとめで書こう」と即決めました。
いつか壊す人形だけど、心があって、部員たちと仲良くなって。部員たちの抱えているものも少しずつ明らかになって。雨子を囲むもだもだ青春にときめきます。
「上手に言葉にできない」と言う三上に一番共感しているかもしれない。誰かしらに「ああ、そんなこともあったなあ」と思えるキャラクターが魅力です。

人外祭りですかね。ここまでバケモノじみた人とか人じゃないものとかばっかりでしたがそういうこともありますよね。


*映像編*
趣向を変えたのはここからさらに暴走するからです。とにかく熱い一年、そして怒涛の秋アニメでした。

『舟を編む』
三浦しをんさん原作の小説が、秋クールのアニメとして放送。原作、実写映画、アニメと全て観ました。ご存知、辞書をつくる物語です。
原作は章ごとに視点を変えながら展開されていて、辞書作りにかける各々の情熱が、しかし押しつけがましくなく描かれています。笑えるところもあって、読みやすく沁みやすい。
映画は観たのが随分前なのですが(原作は今年やっと読んだところ、映画はDVDになってすぐの頃に観てました)しっとりした恋愛と時の流れが丁寧に表現されていて、ああ好きだな、と思った記憶が。
そしてアニメ。西岡さん大活躍のアニメ。原作との違いは西岡さんの活躍が多いところかな……他にもいろいろありますが、アニメとしての演出はとても良かったと思います。じしょたんず可愛い。
それぞれの表現の仕方が楽しめる作品であり、映画とアニメは原作の言葉を掴んで解釈したものですから違った味わいがあって、私はどれも好きです。いずれもキャラクターが立っていますし。

『ユーリ!!!onICE』
ここ何年かフィギュアスケートは、とくにグランプリシリーズは観るようにしてます。緊張感のある試合から選手同士仲が良いオフショットまで、チェックできるだけしていたのですが。
それが今年は二重にあったような気がします。リアルと変わらないほど熱いアニメでした。
最初の印象は「尻を出し惜しみしないアニメ」だったんですが、氷上でのシーンが増えるにつれてわくわくしました。見てるとキャラクターも魅力的なんだよなあ。タイのSNS狂王子様が特に好きです。
そしてストレートに描かれる愛。見ていて「腐向け」だとかそういう印象は持たなくなりました。表現過剰だとしても、これはアリだよねと。別に愛が男女間でしか存在しないものでもなし。
演技シーンのアニメーションには引き込まれました。本物の試合見てるときと同じテンションで喜んだり落ち込んだりしましたからね。転倒があればハッとするし、素晴らしい演技には拍手を送る。そういう観方ができて楽しかったです。

『地味にスゴイ! 校閲ガール河野悦子』
秋は連ドラもすごかった! こちらも原作と合わせて楽しみました。えっちゃん見ると次の日元気に仕事できるんですよ。感化されやすいので。忙しい時期だったのもあって、毎週えっちゃんに会うのが楽しみでした。
原作も読んでいて気持ちいいです。ズバッとはっきりものを言うえっちゃんは見ていて爽快。ドラマはもっとたくさんの人を巻き込んで、普通ではどう考えてもありえないことでも「えっちゃんなら」で頷けてしまう。恋愛パートもときめきました。その上で夢に向かう、仕事に向かうという結論、良かったなあ。
周りの人たちの描き方もとても好感が持てて、今期の特徴なのかしら、悪役ってほぼいないんですよね。それが「見ていて元気になれる」秘訣なのかも。
原作えっちゃんは仕事のできる女としてかっこよく、ドラマえっちゃんは新人として一生懸命で可愛く(でもやっぱり能力は高い)どちらも私は好きです。頑張って仕事しよう。

『シン・ゴジラ』
映画、二日連続で同じものを二回見たの初めてです。そして事前のある程度のネタバレがなきゃ、たぶん中身を理解するのは難しかった。怪獣映画としての迫力はもちろん、仕事を頑張って確実なものにしていく人々の物語でもあるので、好きな部分はえっちゃんと似てるかもしれません。どっちも石原さとみちゃんだし。
前情報を仕入れていってもいい意味で裏切られる。ひたすら続く会議には思わず笑ってしまいましたが、あれが現実に近いのかしら。
未確認巨大生物第二形態は可愛いという噂を聞いて期待していましたが、期待以上の可愛さでした。ぶるんぶるんするエラとまんまるで大きな目、未分化の手部分。ドツボってああいうのを言うんですね。あと第四形態の顎が三方向にかぱっと割れるのもかなり好きです。レーザーもロマンを感じてしまう。燃え盛る炎の中のゴジラはぞくぞくしました。
対処のために多くの人が動く、きっと映っていないたくさんの人々が作戦のために働いたであろうことなど、想像すると胸が熱くなって泣きそうでした。日本人って「仕事」できるんだなあ。
現実と浪漫の両方を存分に楽しめた映画でした。大きなスクリーンで見られて良かった。


「漫画映像編」は以上です。私にしてはだいぶ興奮しすぎました。しかし今年は映画豊作でしたね。『君の名は。』も観ましたよ。ただ一回しか見てないのでちゃんと把握ができてないんです。
今年上映で観てないもの、来年上映予定のものを、次のまとめでお話できることを願って。漫画も今年は読んだわりにちゃんとまとめきれていないので、来年はどんどんいいものに出会っていきたいですね。
漫画の山が溢れるのが先かもしれませんが……。整理したら大きい棚埋まりましたよ……。
人外と頑張る人々が好きなのが滲み出ている今年のまとめ、その色を引きつつ文芸作品編に続きます。
posted by 外都ユウマ at 21:19| Comment(0) | 作品鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月30日

2015年作品鑑賞ベスト 文芸作品編

再びこんにちは、外都ユウマです。2015年のイチオシ作品鑑賞文、「文芸作品編」です。
今年新規で読んだ冊数は58冊。昨年より少ないですが、再読しているものもあるので読書量としては昨年以上になりました。昨年いろいろはまりすぎたんだなあ……。
それでは「2015年に楽しんだ作品」から8作紹介させていただきます。著者敬称略につき、ご了承ください。


『小さいおうち』(中島京子)
昭和を生き抜いた女中タキが綴る、奥さまとの日々。目まぐるしく流れるこの時代の中で、二人の関係は何ものにも侵されない神聖な領域でした。
主人公タキをはじめとする登場人物たちの心境を解釈するのに、またこの昭和という時代を庶民の目線から見るのに、随分と考えを巡らせながら読んだ作品です。私の解釈と映画とはだいぶ異なるものでした。
「世間は何やら動いている」のにその詳細がわからなかったり、いつのまにか大きい方が正しいものになっていたりするのは、いつの世も同じだなあと思わされる場面もありました。『女中譚』もおすすめ。

『ゆかし妖し』(堀川アサコ)
『闇鏡』の改題作。時代物でありミステリーであり怪奇物でもある、いくつものジャンルを一作のうちに楽しめる堀川ワールドはここからすでに始まっていたのだと思わされました。
時は鎌倉、検非違使清原龍雪が、同時に発生した奇怪な事件に挑みます。一見ばらばらのような事象が一つに繋がる瞬間が、ミステリーを読むにあたって最も爽快な気分を味わえる時ではないでしょうか。随所にちりばめられた「怪奇」は、人間の起こす「事件」となってあらわれます。
ラストの怒涛の展開にぞくぞくさせられ、それがまた気持ちいい。頭の中に広がるその場面が、あまりにも恐ろしく鮮やかで美しい。
ちゃんと勉強して本を読むとなお一層面白いのだということを教えてくれた作品でもあります。

『コンビニたそがれ堂 神無月のころ』(村山早紀)
いつもの「たそがれ堂」とは少し違う、看板娘ねここが見つめる物語。全編、遠慮なく涙を流させていただきました。「あちら側」の要素が強めになっても、「お別れの物語」という柱は変わらず。切なく、かつ温かく紡がれる物語に、何度も涙腺が刺激されます。
こちら側の者は「残しておく」、あちら側の者は「見守り続ける」という、終わらない物語がじんわりと沁みていきます。『花咲家の旅』と姉妹編として読めるところも素敵。「あたりまえ」はあたりまえではないのだなあと、感じさせられるお話です。
おすすめの理由は私が大好きなねここが出てくるから、というのが大きいですね。彼女もまた、見守る者なのだよなあ。

『コンビニたそがれ堂セレクション』(村山早紀)
順番は前後しましたが、こちらもどうしても選びたかったのは何といっても装丁の美しさ故。いつまでも手に取って眺めていたくなる、そっと撫でていたくなる美しい本です。
これまでの「たそがれ堂」の物語から選ばれた珠玉の名作に加え、書きおろし「天使の絵本」がまたきれいな物語なのです。全てにおいてあんまり美しい本なので、この作品に関しては記事一本書きました。
本に関わる全ての人が、それぞれ奇跡や魔法をつくりだしているように思います。今年からの新シリーズ『かなりや荘浪漫』からもそれは感じられて、やはり本は、そして本に携わる人は尊いなあと思わずにはいられません。

『モリオ』(荻上直子)
猫好き必読作品にまた出会ってしまいました。映画「トイレット」の原案小説です。収録されている二つのお話には共通して猫が登場し、表題作「モリオ」では主人公を導き、「エウとシャチョウ」ではがんになった猫と主人公との日々が綴られています。
作中の猫との付き合い方が、人付き合いにも通じるものがあって、焦らずじっくりといくのが一番なのだなと胸に落ちていきました。
ゆったりと流れる時間は、荻上映画そのものです。

『鹿乃江さんの左手』(青谷真未)
女子校の魔女の話、という前情報から想像していたよりずっとミステリーで、ファンタジーではありません。その中で語られる憧れや羨望や愛しさが、心に鋭く切り込んできます。女の子の心の機微が鮮やかに描かれ、各章のラストはそれぞれ違うのに全て好きだと思える。
欲しかったけれど手離さざるを得なかったという苦い思い、少女漫画的なパニック、裏切られたような片思い、全部が愛しくて、今年読んだ中で一番好きな作品になりました。
どろどろとした感情すらも清く輝く、そんなパワーがあります。心の中にあったものが抉られあばかれて、それでもなお心地よいと思えるのは、読後感が良かったからだろうな。
今年は百合に恵まれた年だったと思います。

『大きな音が聞こえるか』(坂木司)
ただの青春物語ではありません。仕事もの、冒険もの、学園もの、スポーツものと様々な側面から描かれた人間ドラマから、働くこと、大人になること、夢を叶えること、人と関わることを考えられる作品です。一人称だからこそ、主人公と一体となって「体験」を読んでいける、だから読み進めるごとにわくわくします。
おそらく、若者が大人になるまでに経験するかもしれないことは網羅してるのではないでしょうか。大ボリュームで中身が濃くても、主人公泳の体験は自分の中にすっと入ってきます。「考える材料」の宝庫なので、例えば長期休みの読書感想文などにはちょうどいい作品なのでは。
共感と憧れが入り混じった大きな「波」を、こちらへ寄越してくるような物語です。

『エル・シオン』(香月日輪)
文庫で出るまで、この作品の存在を知りませんでした。まさにこんな熱い物語が読みたい、そのタイミングで発刊されたことが奇跡のよう。
ぶれることのない運命観と死生観、痛快なバトルシーン、人と神とのバランスのあり方と、香月さんから子供たちへ送る物語として重要なものがしっかり詰まっている。
バルキスとフップをはじめとするキャラクターや、物語の展開に胸が熱くなって、どんどん読み進められる。そうするうちにより想像が広がってわくわくする。さらに人の営みを動かすのは結局は人の力だというメッセージに、きっと子供の頃の私でも影響を受けたんじゃないでしょうか。


以上を選んでみましたが、いかがでしたでしょうか。
結局今年もあまり作品鑑賞文が出せなくて、年末の総まとめになってしまいました。来年も良い作品と巡り会いたいものです。いや、確実に出会えるでしょう。
すでに読みたいものがいくつか決まっていますし。2016年も、わくわくするような作品鑑賞ライフが待っていることを願って。
それでは、よいお年を!



posted by 外都ユウマ at 13:51| Comment(0) | 作品鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年12月29日

2015年作品鑑賞ベスト 映像作品・漫画編

こんにちは、外都ユウマです。早いもので、2015年も終わろうとしております。ついこのあいだ、2014年のまとめを書いたような気がするのですが、一年が過ぎるのは本当に早いですね。
ブログの作品鑑賞カテゴリが増えない代わりに、今年も触れた作品の感想をTwitterにあげて、ときどきお気に入り(いいね)、リツイートしていただきました。ありがとうございます。
昨年はTwitterのタグに便乗して、一年間で読んだ文芸作品、漫画、観た映画からいくつか選んで感想を書きました。それが楽しかったので、今年もイチオシ作品をいくつか紹介させていただこうかなと思い、この記事を書いております。
私が語るまでもなく有名な作品、話題作ばかりです。2015年の総まとめ、あなたと一緒に語り明かしたい作品をずらりと並べておりますのでお付き合いくだされば幸いです。

さて、本記事は漫画・映像作品編。昨年同様、「今年私が楽しんだもの」から選んでおります。著者監督敬称略につき、ご了承ください。


*映像編*
今年は話題作4作品を選んでみました。DVDで観たもの、映画館へ足を運んだもの、少ないながらも内容が濃かった思い出です。

『チョコレートドーナツ』(トラヴィス・ファイン)
年明け早々にこの作品を観て、とても重かったことをはっきりと憶えています。いい意味で。
ゲイのカップルと障害を持つ少年がともに暮らす日々を描いた作品なのですが、そこには様々な問題が起こってきます。作品のモデルとなった、実際にあった同性愛者差別をめぐるストーリーは、幸せな場面との対比がまた辛い。
衝撃のラストにただ涙が止まりませんでした。現実問題として迫るということもありますが、それを抜きにしても、新年に観るには胸が痛い作品でした。音楽、主人公の歌が良いですよ。

『グランド・ブダペスト・ホテル』(ウェス・アンダーソン)
Twitterのタイムライン上で話題になっていたので、これは観たいと思っていたのです。
ホテルの人たらしコンシェルジュ・グスタヴとロビーボーイ・ゼロの大冒険ともいえる人生を描くコメディ。わりと人は死ぬし、その方法も残酷だったりするのに、テンポが軽快なので笑えてしまって。
爽快で王道、とにかく人に恵まれるグスタヴ氏に見入る作品。そして殺し屋が出てくる度にふきだすのを抑えられなかった……。

『リトル・フォレスト 夏/秋 冬/春』(森純一)
東北の小さな集落、小森で自給自足生活をする。舞台も設定もツボにはまった作品。
出てくる食べ物がどれも美味しそうで、農作業から作る過程やそれに伴う主人公いち子の思い出も良い。古めかしい台所の可愛いタイル、ところどころに現れる猫、そしてふとかけられる心を突くような言葉。ああ、これは好きな映画だなあ、と思いました。
「人の悪口を言うのは自分にも同じ面があってやましいから」「『一生懸命』に逃げている」私自身にも心当たりのあるそんな言葉を、いち子は受け止め、行動します。後半は特に身につまされました。

『バケモノの子』(細田守)
一人で映画館行って、ぼろぼろ泣いて帰ってきました。ひとりぼっちとひとりぼっちが出会って、ひとりじゃなくなるお話だなあというのが私の解釈。みんな幸せになれ。
誰にだって、どんな形であれ、「他者」が必要。そうでなければ「自分」ができない。というのを感じながら観ていました。映画館行って良かった!
機会があればもう一度観たい作品です。まず渋天街が魅力的。


*漫画編*
改めて数えると気が遠くなるくらい読みましたが、今年選んだのは6作。小説もそうなのですが、好きな作家さんが固定されて、偏りが出ております。そしてご飯もの多め。好きな作品の続編が出たのも嬉しい一年でした。

『がっこうぐらし!』(千葉サドル/海法紀光)
アニメから入りました。で、原作読んで引き込まれました。女の子が絶望するのはたまらんですね。
「学園生活部」の四人の関係や特性がツボに入りました。極限状態下での共依存から変化してまた別の共依存、って読み物として見る分にはとても面白い。そういう理由で私はりーさん推しです。
思えば『まどかマギカ』以来の絶望するお姉さんキャラハマり。

『砂海の娘』(ムライ)
常にポーカーフェイスの砂漠の配達屋さんが、猫をおともに、人々へ希望を運ぶ。どんどん広がっていく人間関係と少しずつ明かされていく過去が、私の好きなポイントの一つです。
登場する異形や鳥(ムライさんの描く鳥は魅力的な不気味さがあって好き)のタッチは、『路地裏第一区』から一目惚れでした。容赦のない独特の世界観にも、入りこんだら出たくない。
配達屋さんの名前は……「教えなーい」。どうぞ作品で確かめてください。

『マキーナ』(ムライ)
「機械は生きている」。不思議なロボット「ロイド」と子供たち、そしてちょっと変わった先生など、濃くも可愛らしい(?)キャラクターがこれまた独特の世界の中で描かれる、こちらもおすすめの一作。
『砂海の娘』より少しほのぼのしてるかしら。機械への想い、人々の間の心の動きが優しく、ときには狂気的に描かれていて、ムライさんの魅力を堪能できます。
可愛く切ないロイドと、お友達になりたくなること必至です。

『ごはんのおとも』(たな)
はい、きましたご飯もの。ここからご飯続きますよ!
独身男性に独り暮らしを始めたばかりの女子大生、ツイてない男性社員におばあちゃん、おじいちゃん、女の子、料理屋「ひとくちや」のご主人などなど。ご飯でほっと幸せになる物語が、美味しくぎゅっと詰まった作品です。レシピもあるよ。卵のしょうゆ漬けはいつかやってみようと目論んでます。
ほのぼのしてて美味しそう、なんとも温かで癒される。疲れたときはこの作品で一息ついて、思い切り食べてお腹をいっぱいにしましょう。

『ホクサイと飯さえあれば』(鈴木小波)
おかえりホクサイ、ブンちゃん! 待ってました、『ホクサイと飯』の続編、というか主人公ブンの学生時代を描いた作品です。めっちゃご飯作って、めっちゃ食べますよ! もちろんレシピ付き。
ブンとホクサイを取り巻くキャラクターも魅力的。美味しいものが大好きな人はいいよねえ。ハプニング続きだけど、それでもめげずに日々ご飯を楽しみに生活するブンちゃんが好きです。
是非『ホクサイと飯』から現在出ている本作二巻まであわせてどうぞ。しかしこうして蔵書にご飯ものが増えていくのだなあ……。今ブームですしね、ご飯もの。

『ダンジョン飯』(九井諒子)
まずは「このマンガがすごい!2016」オトコ編第一位おめでとうございます! それくらいインパクトあったもの、納得の一位です。
ダンジョンでモンスター倒して、それを料理して食べるっていう発想がすごい。食べ方が妙に詳しかったり、モンスターの知識がどんどん入ってくるのに、混乱しない。ちゃんと目的があって冒険もするし、種族間の認識の差なども描かれています。物語のテンポも絶妙。これはまさにあとをひく美味しさですよ。なんて味の濃い作品が出てきてしまったんだ……! 九井さん作品がさらに好きになりました。


以上、漫画・映像作品編でした。昨年末の予想通り、大量の漫画で山ができている現状です。それくらい今年は面白い作品にたくさん出会えました。続刊のものもどんどん出てきましたし。
映画も、観た本数は少ないですが面白いものばかりで。充実した一年だったと思います。
それでは「文芸作品編」もよろしくお願いします。また明日!
posted by 外都ユウマ at 16:20| Comment(0) | 作品鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年03月22日

『コンビニたそがれ堂』と私の思い出

私が『コンビニたそがれ堂』という作品に出会い、村山早紀さんという作家を知ったのは、2012年の夏のことでした。よく行く本屋さんの平台に、文庫本が三巻まで並べて置いてあったのを見つけ、どうにも気になって仕方なかったので手に取ったのが始まりです。
その頃、私は職業訓練の最中でした。2012年の2月末で、それまで派遣社員として勤めていた工場を辞め、しかしながら新しい仕事をしようとして受けた面接は落ちまくりました。そこで資格取得と生活費をつなぐために、補助金の支給がある職業訓練を受けていたのです。
人前に出ることが得意ではなく(卒論発表会で立って話すことができず、座って人の顔を見ない状態で自分の発表をさせてもらったくらいです)、面接や接客を伴う業務にはかなりの支障が出ることがわかっていましたから、それを克服するための訓練でもありました。自己紹介すらろくにできなかった私が自分を変えるのには、相応かそれ以上の努力が必要だったのです。
頑張れば結果はいつか出るかもしれないけれど、頑張り続けるのはつらい。一息でも吐けたらいいのに、と思っていたところでの、作品との出会いでした。
『コンビニたそがれ堂』を読んだ私は、もともとが感情のぶれが激しくよく泣く性質ではありましたが、やはり涙があふれて止まりませんでした。
文章の、お話の、優しいこと。それでいて描かれていることの多くは「お別れ」で、切ない。温かくて幸せな物語に惹かれて、二巻、三巻も揃えました。(四巻「空の童話」が出るのはもう少し先のことになります)『カフェかもめ亭』や『竜宮ホテル(三笠書房版)』は、資格試験を受けに行った先の本屋さんで買って読みました。
そうしてすっかり「風早の街」が好きになったのです。

『コンビニたそがれ堂』だけでも、好きな話を挙げればきりがない、というよりは、好きな話しかないといったところです。そんな作品たちの中から選ばれたものと書きおろしを収録した『コンビニたそがれ堂セレクション』が、先日、とても美しいハードカバーの本になりました。
あの夏の日から何度も読んだ物語を、ずっしりとした、鳥肌が立つほどきれいな本として、改めて読み返すことができました。

収録された物語の一つ、「人魚姫」。そのタイトルを見た私は2012年の夏のこと、さらに2013年4月以降のことを思い出しました。物語の主人公「真衣」のように、クエストをクリアしたい、レベルアップしたいと思っていた時期のことを。
「人魚姫」の主人公である真衣は、引きこもりの17歳。けれども外に出よう、少しずつリアルの世界に戻っていこうとする女の子です。内気で人と話すのにも緊張してしまう彼女に、私は自分を重ねて読んでいました。以前も、今も。彼女がたまに思う「シンデシマイタイ」という気持ちは、私の心にもよく現れるのです。彼女はそれを乗り越えるのですが。
小さな「クエスト」をクリアすることから始めてみようとした真衣のように、私もできそうなことから少しずつ取り組んでいって、レベルアップを目指そう。私にとっての「秋姫」は、この作品だ。そう思って訓練に臨み、資格を取得し、幾度目かの挑戦で面接を突破して職を得ました。
訓練以前と後では、私の印象はまるで違うものだと思います。外に向けて明るく笑えるようになりましたし、考え方も良い方向に転換しました。2013年の夏にお世話になった大学の先生に会う機会があったのですが、私の変貌ぶりに驚いてくださいました。下ばかり向いていて、まともに会話もできなかった学生が、元気な笑顔で訪ねていったのですから。

2012年夏に少し自分を変えることができた私は、しかし、2013年の春に、過労で倒れました。そのまま仕事も辞めることとなり、その年は体調を戻してから、色々な仕事を短期で転々としました。その合間に旅行をしたり、やはり本を読んだりして、なんとか回復しようとしていました。
そのときに読んだ本の多くも、やはり『コンビニたそがれ堂』をはじめとする村山先生の作品でした。心身ともに疲れてしまっていた私を、優しい言葉で包むだけでなく、次へ進ませてくれました。
2014年春から現在まで、私は久しぶりに同じ仕事を一年続けられました。自分で設定した「一か所で一年働き続けること」というクエストは、今月の頭に、達成することができました。
そして新たなクエスト「求められている仕事の基準を達成すること」に取り組んでいます。私は職場でもかなり落ちこぼれている上に、倒れて以来しょっちゅう体調を崩すようになったので、なかなか基準に追いつけないでいるのです。仕事だからやらなければならないのですけれどね。でなきゃ雇ってくれている会社の損になってしまいますから。
ただ嬉しいことに、休み時間が細かく設けられている仕事のおかげで、合間に本を読むことができます。それを許してもらっています。だから私は毎日文庫本と一緒に出社しています。
『コンビニたそがれ堂セレクション』はハードカバーでしたので、仕事から帰ってきてから読むようにしました。そうして一日の疲れを癒し、また、泣いたのです。あんまりきれいな本なので、表紙や挿絵を見るだけでも涙がこみ上げるほどでした。

私はすぐに泣く自分が好きではありません。幼い頃から「泣く」ということは非難されてきたからです。泣くことは悪いことだと、少し前まで思っていました。
けれども本を読んで泣くときは、物語に涙を流せる自分でよかったと思えるのです。感情移入して泣けるということが、そのときばかりは誇らしいのです。
あの夏の日から、私は何度も泣いています。けれどもそこに自己嫌悪があることが割合少ないように思うのは、それが読書によるものだからなのでしょう。泣くことを嫌悪するのではなく、泣くと同時に勇気を少しずつもらっているからなのだと思います。

初めて『コンビニたそがれ堂』に出会った本屋さんには、今も足繁く通っています。もしかしたら2012年夏の私にとっての、そこが「たそがれ堂」だったのかもしれません。
作品の感想を書いたことがきっかけで、ツイッターでたくさんの人と繋がることができ、今でも感想や情報など共有できるのが嬉しいです。
感想が先生に届くようになったことで、使う言葉も以前よりずっと棘が取れました。とげとげした言葉を、優しい人たちにふりまくわけにはいきませんから。
たくさんの方々とたくさんの作品へ。ありがとうございました。これからもどうぞ、よろしくお願いします。
posted by 外都ユウマ at 15:48| Comment(0) | 作品鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年12月31日

2014年作品鑑賞ベスト 文芸作品編

再びこんにちは、外都ユウマです。2014年のイチオシ作品鑑賞文、こちらは「文芸作品編」でございます。
今年は「読みの年」でした。1月から12月までに読んだ冊数は84冊。特に夏は同じ作家さんの作品をまとめて買ってきて読むということをしていたせいで、6月から8月までに37冊読んでいました。
ページをめくる手が止まらない。休み時間に読書ができる仕事環境を得たことも手伝って、とにかく食べるように読む。ちゃんと味わってますよ。……そういえば、食べ物が美味しそうな作品はたくさん読みましたね。おやつのエッセイとか。食事シーンが素敵な小説とか。
さて、その中から9作品(シリーズものは1作品にまとめました)選んでみました。今年は身内の薦めでミステリーなどにも手を出したり、安定して好きな作家さんを追っかけていたり、選ぶ間も巡る巡る物語。やっぱり、本が大好きです、私。
それでは文芸作品編スタートです! 「私が2014年に楽しんだ作品」ですので、刊行年は気にしてません。今年出た本が多めにはなっていますが。
著者敬称略につき、ご了承ください。


『青空の卵』『仔羊の巣』『動物園の鳥』(坂木司/東京創元社)
今年ハマって抜け出せなくなった「坂木先生作品沼」の始まりです。「ひきこもり探偵三部作」として有名ですね。
私がミステリーを読もうと思ったきっかけです。特に坂木先生の書かれる日常ミステリーにはまんまとハマりました。身内の薦めが今年の一大ブームになるとは。
主人公・坂木の探偵役・鳥井に対する依存が、どんどん広がっていく人間関係をきっかけとして変化していくのが見どころです。三作読み終えるのがあっという間でした。
ときどき他作にキャラクターが出張しているので、そのあたりに「町・街」的な繋がりを感じられるのも面白いです。出てくる食べ物もいちいち美味しそうなんですよね。

『日乃出が走る 浜風屋菓子話』(中島久枝/ポプラ社)
時は明治初期。潰えてしまった大店菓子屋の娘・日乃出が、菓子を作って百日で百両をつくるという大勝負に出ます。
日乃出の父が作りだした幻の菓子「薄紅」の正体を探りながら読むのが楽しい、ミステリー要素もある作品です。キャラクターも魅力的で、強く逞しい女の子日乃出も素敵ですが、私のイチオシは舞台となる菓子屋・浜風屋の自由人、純也さん。
和洋入り混じる明治を舞台に、菓子の世界を味わいましょう。今年のうちに続刊も出て、こちらは浜風屋の行く末にはらはらさせられました。和菓子も洋菓子も、どっちも魅力がありますよね。

『三ツ星商事グルメ課のおいしい仕事』『三ツ星商事グルメ課のうまい話』(百波秋丸/アスキー・メディアワークス)
大きな商社が舞台の、お仕事ものでありグルメもの。実在のお店が登場するので、ちょっと東京に行ってみたくなります。
グループリソースメンテナンス課略してグルメ課が、社内のトラブルを外食で解決していく物語は、頭の中で実写ドラマのように再生されていきます。最後にそれまでの働きが一つになるところは、とても気持ちが良い。あれもこれも全部このための伏線か! と感動させられます。
イケメンと美味しい食事と、広がっていく人間関係。こんな職場で働いてみたい……かも? ああ、主人公のひなのさんが羨ましい。

『予言村の転校生』(堀川アサコ/文藝春秋)
今の気分はミステリー? ファンタジー? 社会派? 青春? それ全部、この作品で楽しめます。なんて贅沢な作品!
田舎の村「こよみ村」にやってきた主人公・奈央が不思議な出来事に遭遇し、その正体を探っていくというストーリー。現実的な事件と、不可思議なファンタジーがちょうど良いバランスで、読み終わった後も余韻が気持ちいい。あれだけの要素を詰め込んで面白く読めるのはすごい。
他作も現実と幻想のバランスが良いものばかりで、良い作家さんに出会えたなあと思いました。
キャラクターも魅力的。終盤の奈央には惚れます。惚れても仕方ないです。

『お近くの奇譚 カタリベと、現代民話と謎解き茶話会』(地図十行路/アスキー・メディアワークス)
町の不思議な噂などを「現代民話」として収集し、その噂が生まれることとなった原因を、お茶とお菓子を用意しながら解き明かす。伝奇と「町・街」が大好きな私のツボに見事に合致した作品です。
ハルと久路、「カタリベ」招の真剣なのにどこかのんびりとした空気の漂う茶話会が素敵。物語の舞台である異角の土地に、迷い込んでみたくなること間違いなしです。ちょっぴり不思議で、ちょっぴり怖い、でもやっぱりこの土地が好きになる。ハルの「郷土愛」に感化され、久路の「どこかに迷い込みたい」欲に引き込まれます。
よく作中に登場する土地に行ってみたいと思うのですが、この作品でそれが増えました。

『カフェかもめ亭 猫たちのいる時間』(村山早紀/ポプラ社)
猫は魔法が使えるんです。猫好きさんにはぜひともおすすめしたいこちらの作品。あなたのそばの猫も、もしかしたら魔法使いかも。
風早の街にあるカフェかもめ亭を訪れた不思議なお客様の語るお話と、マスター広海さんの記憶。自動ピアノが奏でる音楽と、ホッとさせてくれる飲み物。物語がゆったりとした時間をもたらしてくれます。
心が温まるお話も、少し切なくなるようなお話も、ぜひ温かな飲み物を用意して味わってみてください。
私は一話目から涙が止まりませんでした。夜中にぼろぼろ泣きながら読んだ日のことは忘れられません。

『その本の物語 上・下』(村山早紀/ポプラ社)
今年のベスト・ファンタジー。児童書『風の丘のルルー』シリーズに、かつてその本を読んで成長した少女の物語を添わせた作品です。
なぜリアルタイムで『風の丘のルルー』シリーズを読んでいなかったのか、むしろ今だから読むべきなのか、と何度も考え読み返しました。
魔女の子ルルーは温かい気持ちも辛い思いも背負い、それでも人間を愛して生きていく。かつて少女だった南波は、大切な友人への想いと後悔を抱えながら物語を朗読し続ける。そうして起こる奇跡は、きっと必然だったのでしょう。
人間の美しさも暗い部分も、まとめて愛おしく思わせてくれる作品です。風早の街のファンなら、千鶴先生の言葉も必見。あれはきっと、いつかの私がほしかった言葉でした。私もまた、物語に救われたのです。

『午前0時のラジオ局』(村山仁志/PHP研究所)
おそらく今年一番人に薦めた作品ではないでしょうか。普段本を読まない人にも、これは読んだほうがいいと強く推してました。読みやすいんですよね。
若いアナウンサーに、謎を秘めた内気なアシスタント、そして幽霊ディレクターでお送りする深夜のラジオ。そこに届く光るメッセージ。夢に踏み出す力も、心温まる感動も、この作品に詰まっています。
そしてまだ謎は残っている……! 来年初めに第二巻が刊行予定です。これは嬉しい。
漫画編でもラジオもの取りあげましたし、今年はラジオにも縁があったのかもしれません。

『カブキブ!』(榎田ユウリ/角川書店)
高校生になった少年が作ろうとした部活は「歌舞伎部」。大好きな、楽しい歌舞伎を、仲間と一緒に演じたい。舞台をつくりあげたい。そんな始まりの青春ストーリーです。
とにかくキャラクターが魅力的。一人一人がそれぞれプロフェッショナルで、性格もかなり濃い。少年漫画を読んでいるような気持ちになります。
続きが気になってどんどん読み進めてしまったのですが、現在出ているのは三巻まで。ここまでで登場人物の抱える事情もほぼ出揃うのですが、今後の展開も気になります。
私のイチオシは主人公・クロ。一巻職員室で先生を台詞で説得するシーンは必見です。


以上、9作品でした。ミステリーからファンタジー、青春物まで、今年はたくさん楽しむことができました。やっぱり本は面白い。取り上げたもののうち2作品は身内から借りて読みました。薦めてもらうのも嬉しいものです。

さて、12月19日に、私が長く作品を好きだった、作家の香月日輪先生がお亡くなりになりました。
『地獄堂霊界通信』シリーズに始まり、『妖怪アパートの幽雅な日常』などたくさんの作品を書かれ、おそらく私が最も影響を受けた作家さんでした。考えること、想像することの大切さを私に最初に教えてくれたのは、香月先生の作品だったように思います。
素晴らしい作品を数多く生み出してくださり、ありがとうございました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
今年読んだ中では、『大江戸妖怪かわら版』が良かったなあ。雀ちゃん本当に好き。太夫がかっこよかった。

来年はどんな作品に出会えるでしょうか。今年のような読みの波ががまた来るかどうかはわかりませんが、たくさん読めたらいいなと思っています。香月先生の作品だってまだ全部読み切れたわけじゃないですし。現在、出たばかりの文庫を読んでいるところです。
すでに1月と3月に刊行予定の読みたい本が決まっているのが嬉しいところ。シリーズものの続刊も楽しみですね。
今年はテーマごとの作品鑑賞文がなかなか書けなかったので、こうして総まとめ的に一気に「2014年のイチオシ」として出しましたが、またテーマも決めてやりたいですね。この作品の世界でこんなことをしてみたい、こんなことを考えた、というのも、じっくり考えてできたら面白いだろうな。
それでは良いお年を。そして2015年も、良い作品鑑賞ライフを送れますように!
posted by 外都ユウマ at 15:08| Comment(0) | 作品鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年作品鑑賞ベスト 漫画・映像作品編

こんにちは、外都ユウマです。2014年もいよいよ終わりですが、年末いかがお過ごしでしょうか。
今年は休みになるとお話を書いてブログにあげる、ということばかりしていて、なかなか作品鑑賞文カテゴリの記事を増やすことができませんでした。昨年はテーマを決めて好きな作品について語ったり紹介させていただいたりしていたのですが、今年は読んだものからツイッターで一言感想を呟くことが主になっていました。
それが同じ作品を好きな方や、作品に関わった方の目にとめていただき、お気に入り登録やリツイートなどしていただきました。本当にありがとうございます。

さて、今回の記事はその中でも今年のイチオシを語ります。本記事「漫画・映像作品編」ともう一つ「文芸作品編」に分けてお送りいたします。2014年の総まとめ、あなたにおすすめしたい、一緒に語り明かしたい作品をずらりと並べておりますので、お付き合いくだされば幸いです。
なお、あくまで「私が2014年に楽しんだ作品」ですので、発表年はあまり関係ありません。
それでは漫画・映像作品編からスタートです!
著者敬称略につき、ご了承ください。


*漫画編*
ほのぼの系からシリアスな実録、ちょっぴりホラーなものまで8作品選びました。漫画に関してはなかなかツイッターで呟かないので(多すぎてキリがなくなるから)、ここで好みをさらします。

『満ちても欠けても』(水谷フーカ/講談社)
ラジオを巡る人々を描いたオムニバス。アナウンサーだったり、ディレクターだったり、リスナーだったり、色々な人にとっての「ラジオ」がラブや成長物語も含めて描かれています。
読んだらきっとラジオが気になる、好きになる。ラジオを通しての人とのつながりを、心温まるストーリーで感じることができます。
作中番組「ミッドナイトムーン」、是非聴いてみたい。私のイチオシキャラクターはアナウンサーの天羽さん。番組を聴いてたらファンになってる自信あります。伸びしろのある花ちゃんも好き。

『孤食ロボット』(岩岡ヒサエ/集英社)
独り暮らしの人のところへやってきて、食生活をサポートしてくれる、妙に人間くさいロボットがいたら……。
実はかなり前に雑誌で見かけてから、単行本化を心待ちにしていた作品でした。
見た目は可愛くて、ときどき口うるさくて、いないとやっぱり寂しくて。そんなロボット、実家暮らしの私も欲しいです。この子来るならポイント貯めるわ……。
基本的にはオムニバス。人々とロボットの生活を、あなたも覗いてみてはいかがでしょうか。

『ワカコ酒』(新久千映/徳間書店)
26歳の誕生日、ずっと気になっていたこの作品を読んだら、主人公ワカコさんも26歳でした。でもワカコさんは私と違ってしっかり社会人していて、一人酒できちゃうかっこいい大人なのでした。
おつまみを用意して、まったりとお酒を飲みたくなる作品。居酒屋さんに行くとカウンター席が輝いて見える。胃の具合が回復したら、また日本酒飲みたいなあ。美味しい奴を、大根おろし付玉子焼きで……ぷしゅー! ああ、憧れ。
一月からドラマも始まるそうですね。チェックしておこうかしら。

『死にたがり少女と食人鬼さん』(Oはぎ/一迅社)
アルビノ少女と人肉(骨もか)しか食べられない青年の、ちょっと狂気な純愛物語。登場する人々がみなさん可愛いのです。
Pixivでの連載を追いかけていたので、書籍化して「これで手元に置いておける」と喜んだものです。
特殊な人々が集まっておりますが、白ちゃんも色人も純粋なので、これは間違いなく純愛です。人が死んでもピュアラブストーリーです。今後の展開が気になるところ。

『死んで生き返りましたれぽ』(村上竹尾/双葉社)
こちらもPixiv掲載時から追いかけておりました、実録漫画の書籍版。一目見て衝撃的なタイトルに、辛くも少しずつ快復していく著者の記録。この作品が描かれているということは、また描くようになったんだ、と思いながら読んでおりました。
当たり前にあるものの大切さを感じた、というのは私の身内の感想です。生きることは厳しく、時に著者のように死にかけることも、もしかしたら数分後にでも死んでしまうかもしれない。でも人間はやっぱり優しいんだと思わせてくれた記録でした。

『あの子の家』(クマザワキミコ/徳間書店)
ひとりになる? だれかと居続ける? 快適さに身を任せるだけの時間、自分の中で何かが死んでいく。
小さな女の子視点のゆったりしたリズムで描かれる哲学のようなお話。ひとりになるってどんな感じなんだろう、とふと思う人は、実は多いんじゃないでしょうか。ひとりの切なさも、自分で何でもやることのちょっぴりのわくわくも、なんだかわかる気がするのです。
とりあえず、家出にお気に入りのパンツは必須。帰る場所をなくすなら、なおさら。

『詭弁学派四ツ谷先輩の怪談。』(古舘春一/集英社)
今年『ハイキュー!!』がアニメ化して大ヒットしましたが、こちらも面白いです。古舘先生の「語り方」に惹かれました。
その「語り」が際立つこの作品。「怪談」というただでさえ魅力的なものを、条件を整え、より効果的に表現する。そのやりかたがもうわくわくしますね。頭のネジ飛んじゃってる登場人物たちも好きです。キャラクターが丁寧に描かれているのも古舘先生の作品の魅力ですよね。
巻き込まれヒロインまことちゃん可愛い。『ハイキュー!!』に中島家出たときは思わずにやり。

『燐寸少女』(鈴木小波/角川書店)
あなたの妄想を具現化するマッチ、対価は寿命一年分。鈴木先生のちょっぴりダークな世界観、大好きです。
本作は感動するお話もあって、久しぶりに漫画でぼろぼろ泣きました。同じくらいゾクゾクもしましたが。
妄想を具現化させて満足できるか、願望に昇華させてとんでもないことを引き起こすか、それはマッチを手にした人次第。
さあ、「マッチはいりませんか?」レトロでおしゃれでステキですよ。

来年は、読んだ漫画の記録もちゃんとつけようと思います。
とにかく買って読む冊数が多いので(続きものと衝動買いと作家さん買いと……)感想は持っても残してこなかったのですが、名作があるのは間違いないので、いつでも取り出せるようにしておきたいです。


*映像編*
今年はあまり映像作品を観ていませんでした。けれどもとても面白い映像作品に出会えました。それが「ボリウッド」インド映画です。多くの作品は時間がないと最後まで観られない長さで、必ずといって良いほど歌と踊りが入るのですが、パターン化しても飽きずに観られてしまうのです。インドすごい。

『きっと、うまくいく』(ラージクマール・ヒラーニ)
とても話題になったインド映画なので、ご存知の方も多いのでは。もちろんインドなので歌って踊るのですが、ストーリーが素晴らしかった!
生まれたときからなるべきものを、進む道を決められてきた工大生たちが、ある友人と出会いおバカなことをしながら、人生観を変えていきます。行方をくらませたその友人を捜しながら、思い出を振り返るかたちで、ストーリーが展開されます。
「うまくい〜く」が合言葉。その先には最高の未来が。三時間、3バカでたっぷり笑ってください。

『スタンリーのお弁当箱』(アモール・グプテ)
インド映画にしては短い、一時間半で観られる作品。ですが内容は詰まってます。
お弁当をみんなに分けてもらう生徒と、生徒の持って来るお弁当を狙う先生の笑える駆け引き。とにかく主人公スタンリーにお弁当を分けてあげながら一緒に食べるために、画策する生徒が可愛い。
一方で、インドの子供たちが抱える現実的な問題も描かれています。全篇通して見逃せない作品であるのは間違いないでしょう。
監督が先生役で登場しています。

他にもいろいろ観たのですが、選ぶとしたらこの二作。インド映画にはやられました。まだ観ていない方は、お時間のあるときにぜひ。
来年は気になる映画がいくつかあるので、もっと映画館に足を運ぼうかと思っています。


以上、「漫画・映像作品編」でした。来年はどんな作品に出会えるでしょうか。きっとまた漫画を大量に買って、置き場所に困るんだろうなあとは思っています。
あなたのおすすめも教えてくださいね。
それでは「文芸作品編」もよろしくお願いいたします。
posted by 外都ユウマ at 14:58| Comment(0) | 作品鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年09月13日

『花咲家の休日』より

村山早紀さんの『花咲家の休日』を読みました。植物の声を聴けたり、その力を借りたりできる不思議な一家のお話です。
前作『花咲家の人々』よりも、「不思議」なことが増えた感じがしました。現実主義の次女りら子ちゃんが、死神さんと仲良しだったり。
末っ子長男の桂君は、前作より大きくなりました。なんだか余裕ができたみたい? 成長しましたね。
見どころはたくさんあれど、とにかく「描きたい!」と思わせてくれる魅力的なシーンやキャラクターが多いこと。
そこでりら子ちゃんのお話「死神少女」より、死神のしーさんを描いてみました。
hanasaki_sisan.png
しばらく絵を描いてなかったんですが、しーさんはどうしても描きたくなって。みつあみっ子大好き。
もうひとつおまけ。
hanasaki_rirasi.png
りらちゃんといっしょ。

一番好きなお話は「朝顔屋敷」でした。寒ざらしの甘い味が口の中に切なく残ります。……食べたことないけど、イメージで。
posted by 外都ユウマ at 20:55| Comment(0) | 作品鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年12月21日

読んでお料理しませんか?

今回、作品鑑賞文カテゴリにしてはいますが、どちらかといえば「紹介」になってます。
この季節、温かいご飯が美味しいですよね。年末年始、実家に帰って久しぶりに家庭の味を……って方もいらっしゃるかと思います。
でもね。作ってもらうご飯はもちろんのこと美味しいですが、自分で台所に立ってみるのもいいのでは。(毎日やってるよ! って方はいつもよりちょっとだけ楽しく)
自分のために、誰かのために、どちらでもいいので美味しいご飯を作ってみましょうよ。
というわけでテーマは「台所に立ちたくなる作品」。著者敬称は省略させていただきました。失礼します。


*漫画編*

『甘々と稲妻 1』(雨隠ギド/講談社)
「このマンガがすごい! 2014」にランク入りされたので、ご存知の方も多いかと。
つむぎちゃんも小鳥ちゃんも可愛いです。可愛い上にご飯が美味しそうって、最強だと思いますよ。
その1の土鍋ごはん、本気でやると格別の美味しさですよ。季節柄、豚汁もいいけど茶碗蒸しも美味しそう!
でも好きな人と一緒なら、きっと大抵のものは美味しくて楽しいんだろうなあ。

『きのう何食べた? 1〜8』(よしながふみ/講談社)
こちらもご存知の方多いのでは。男二人暮らしの食卓が中心ですが、ちょっとしっかりめのおうちご飯です。
読むだけで、一品だけでなく、その日のメニューが揃ってしまうという。一話一話が素晴らしい作品です。
今時期なら、2巻のクリスマス限定メニューとか憧れちゃいますね。余裕があったらやってみたい。
4巻#29の献立も良さげじゃないでしょうか。今年ねぎ高いけど。

『ホクサイと飯』(鈴木小波/角川書店)
まさに「おうちご飯」! レシピ見ながら作れます。一食目の海苔の佃煮は実際にやってみました。美味い!
仕事が忙しくても、落ち込んでいても、台所に立って美味しいご飯を作って食べれば、お腹は幸せになります。……気力次第?
一人(ホクサイいるから二人か?)ご飯でも、誰かと囲む食卓も、どっちも満たされればいいと思います。

『たまごかけごはん』(木村いこ/徳間書店)
たまごかけご飯をこんなにも美味しそうに描かれたら、食べたくなるにきまってるじゃないですか!
お茶漬けもそうですよ。あんなに贅沢なお茶漬け……やってみたい。いや、うちに鮭があるうちにやっておくべきだった。
可愛くて、カラーイラストの色使いがきれいで、眺めているだけでも幸せになれます。そしておなかがすいてくる。
ところで私、コンビーフ食べたことないんですが。本作に出会って以来、スーパーで見かけるたびに、試してみようかどうか迷っています。

『いこまん 1』(木村いこ/徳間書店)
前作に引き続き、お腹の空く作品です。台所は「自らの手で幸せを生み出せる神聖な場所」なのですよ!
とはいえ台所に立つ描写は少なく、でも読むと何か食べようと思わせてくれる魅力、いや、誘惑が。
以前のテーマにも繋がりますが、誰かと鍋を囲むのもいいなあなんて考えながら。私の場合は、やっぱり家族ですかね。

『奥さまGutenTag! T』 (CarolinEckhardt/集英社)
日本人男性のもとに嫁いできたドイツ人の奥さまがとても可愛い。先生、日本を好きになってくれてありがとうございます。
単行本はドイツ料理のレシピ付きなので、ドイツの文化を楽しむとともに、自分のおうちでドイツの味を体験できるかも?
この季節なら、森キノコのジャガイモスープなんていいんじゃないかな。
……とも思いましたが、せっかくクリスマスも近いので、シュトーレンのレシピを見ながら挑戦してみるのもいいかもですね!

『県民ごはん作ってみました!』(もぐら/大和出版)
県民性漫画でおなじみのもぐら先生による、自宅で作れる県民ごはんの本です。実際に作っている過程も面白い。
この季節のおすすめなら、京風たぬきうどんでしょうか。私が食べたいのはチキン南蛮。鶏はうまい。
北海道のものとして紹介されているちゃんちゃん焼きですが、三枚おろしにした一枚を鉄板の上で豪快に崩して食べるのもいいですよ。釣りたては最高です。


*小説編*

『妖怪アパートの幽雅な食卓 るり子さんのお料理日記』(香月日輪/講談社)
とにかくご飯が美味しそう! とこのカテゴリでは何度も推している『妖アパ』の、るり子さんが主役。
作中に登場する献立のうち、いくつかのレシピが紹介されてます。ブリのしゃぶしゃぶとか、ちょうど時期ですよね。高いけど。経済的な都合でとても食べられないけど。
おうちご飯……とは簡単にいえませんが、みんなでわいわい食べるのにいいよねって思うメニューです。家族やお友達とどうぞ。

『ルリユール』(村山早紀/ポプラ社)
すでに読まれた方々のうち、多くの方がチキンラーメンとレモンバターのパスタに心惹かれ、召し上がっているようです。
私もパスタを試してみようと思って、ホウレンソウや焼いた鶏肉を入れても美味しいんじゃないかとか考えて、材料をそろえたものの……肝心のパスタのストックがきれていたんですよね。なので、まだ作ったことはありません。
でも、このパスタは主人公の瑠璃ちゃんがそう思ったように、「あなたのために作りたい」っていう気持ちの魔法があったから、作中ではより美味しそうに見えたのではないかなあ。私はそんなふうに思うのです。


以上、「台所に立ちたくなる作品」9作を紹介させていただきました。
どれもレシピが載っている(作中に書かれている)ので、是非試してみましょう!(木村いこ先生の作品はレシピないですが、自分で何か美味しいものを作ってみようと思える作品だと思います)
私も余裕があるうちに、もっと色々作ってみます。
これも一種の、「聖地巡礼」的なものなのかしら。以前から「マンガごはん」とか、レシピ本が出ていたりしましたけれど。
なんにせよ、素敵な作品と美味しいご飯は幸せの近道ですよね。どちらも感謝をこめて、いただきます。
posted by 外都ユウマ at 19:30| Comment(0) | 作品鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2013年11月23日

「町・街」への憧れ

時々唐突に始まる作品鑑賞文。今回のテーマはずばり「町・街」でございます。
まず前提として、辞典からこの二つの言葉を見てみます。
「町」は人家が多く集まっているところ・行政区画
「街」は商店などが多く集まっている賑やかな地域
(学研現代新国語辞典改訂第三版より)
という使い分けをするそうで。なんとか町とか商店街・繁華街という言い方をしますものね。これはわかりやすい。
では、「人々が行き交う中で生まれる物語」。これは「町」の物語なのでしょうか、「街」の物語なのでしょうか。私はときどきこれに迷って、「これどう表現すれば適切なんだろうか」と悩むのです。
悩むほどに、ある「町・街」で展開されるたくさんのストーリーというものが好きなのです。「世界観」という膨大なものを、手に取りやすくした形のように思えまして。


さて、前置きはここまでとして。
私は香月日輪先生と村山早紀先生の作品が大好きなのですが
(残念ながらまだ読めていないのもたくさんありますけれど。香月先生の『ファンム・アレース』とか、村山先生の『はるかな空の東』とか。いつか必ずとは思っています)
私が読むことのできた作品は、「町」「街」がとても魅力的なのです。

香月先生の『地獄堂霊界通信』シリーズ、昔から大好きです。このシリーズに限らず、とにかく濃い登場人物や、語られる言葉に考えさせられる要素が詰まっている先生の作品ですが、町・街もとても魅力的。
上院の町なら、物語の中心となる怪しい店「地獄堂(本当は極楽堂だってことを後半になると忘れてしまうよなあ……)」や不気味な「イラズの森」はもちろん、是非ともコロッケを食べに行きたい「あげてんか」、公園の「子供しか食べられない」というアイス(食べ物並んだな)。不良警官(笑)のいる交番に、めんこい神官のいる神社。登場人物の家も素敵で、拝家なんて庭とか覗きに行きたくなります。周囲に山があるのもいいですね!(作中でなくなってしまう場所もありますが)
さらに『妖怪アパートの幽雅な日常』や『下町不思議町物語』などで「おや、この人は……」などということがあると、地理的な関係とか考えてしまいます。それぞれの登場人物がどこかですれ違っているんじゃないかとか。(会ってるっぽい人もいるしなあ……)

村山先生といえばずばり「風早の街」。海あり山あり、異国情緒あり。たくさんの喫茶店とホテル。商店街も歩くだけで楽しそう。神様が開く不思議なコンビニや、魔法のルリユール工房。猫も随分多そうですね。楽園ですか。
カメラと旅日記を持って長期滞在しに行きたい、魅力溢れる街です。私もたそがれ堂のおでん食べたい……!(また食べ物か)
「コスモス」に「カモメ亭」「千草」など、色々なお話を聞けそうなお店に通いたいです。絵などの芸術も楽しめるというのも素敵です。風早には作家さんが多いようですし、本屋めぐりもいいなあ。ラジオから流れる桜子さんや茉莉亜さんの声を聞きながら、ゆったりのんびり過ごしたい。
そんな街にたくさんの人々がいて、物語が紡がれていく中で、「ああ、この人はここにいるんだな」というのが想像できることがとても楽しいです。
『海馬亭通信』を読んだ後に『コンビニたそがれ堂 空の童話』を読んだときの感動ときたら! この人々はここに生きているんだなと、しみじみ思いました。
風早の街はその歴史もすごいです。過去から遠い未来まで、長く永くそこに人々がいて、人生を過ごしているのだということを思わせてくれます。


「町・街」があるのは人々がそこに存在し、生活を営んでいるからこそです。そこで関わり、繋がり、結ばれていくものを、私たちは物語として受け取っています。
同じあるいは近い「町・街」なら、「もしかして、ここにはこんな関係があるんじゃないか」という妄想だって繰り広げられてしまいます。
私が「町・街」に魅力を感じ、そこに暮らす人々に思いを馳せるのは、一見狭く見える世界に無限の結びつきを想像できるからなのだろうと思います。
今回は二名の作家さんをあげましたが、まだまだこのような作品はあるはずで、自分の「町・街」を持っている作家さんはいるはず。さまざまな作品を通じて、たくさんの「町・街」にでかけてみたいです。


現実の町にも行きたいんですけれどね。できれば長期滞在で。
商店街と喫茶店と、学校に芸術、神社に寺院に教会といえば、私の中では四年間住んだあの町なんだよなあ。
地元も好きですが、もっともっと他の町を見てみたいです。そうして地元に帰ってきたら、また何か見えるものがあるんじゃないかなあとも思いますし。
ただ冬は、雪だけは、地元のがなんだかんだいって一番合ってます。たぶん。
posted by 外都ユウマ at 18:10| Comment(0) | 作品鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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