2017年12月31日

2017年作品鑑賞まとめ 漫画・映像作品編

今年全然ブログ動かしてませんでした。秋に何かやる予定も結局できないままだったので、来年に色々持ち越しです。
しかしこれは毎年の課題みたいになってきたのでやり残すわけにいかない。
まずはいつものルールです。
私が今年楽しんだ作品から選んで紹介します。なのでちょっと流行に乗り遅れていることもあります。
ネタバレがあることがあります。作者敬称略。
以上ご了承ください。


*映像作品編

『pk』
インド発、SF風宗教コメディー。インド映画らしいキレキレの踊りと歌、恋、家族愛が盛り込まれていて、とても濃い二時間半。
このご時世、そしてインドの環境で、真正面から「宗教の中のルール」に疑問を投げかけている作品です。pkは酔っ払いを表す言葉なのですが、そう呼ばれる彼(宇宙人)が地球人の宗教酔いをコミカルに醒ましていきます。
作中でもテロが起き、たくさんの人が悲しみ、憤ります。それまで宗教指導者をおちょくることでその理不尽さに対抗していたpkの、その後の台詞。
「神様は守るものじゃない。ただ信じていればいい」
他宗教の国で訴えた宗教の捉え方に、とても納得できました。
笑える程度の下ネタもあり、ほぼ緊張せずに見ることができる作品です。

『彼らが本気で編むときは、』
母親がふらっと出ていってしまったために、叔父のマキオのもとにしばらく世話になることになった、小学生のトモ。マキオには介護士をしている恋人、リンコがいた。三人の同居生活が始まるが、トランスジェンダーであるリンコを異常だと見て、良く思わない人もいるのだった。
性の事、家族のかたち、親子の関係などを丁寧に描いた作品です。全てに人と人との間の溝があって、けれどもそれをきちんと受け止めていく。マキオの「親子関係も人と人」という台詞が、じんわりと響きます。
そしてトモが、同性を好きになったことを母に咎められた同級生ケイに言った「あんたのママはたまに間違う」という言葉が、とても印象的でした。怒ることはある。悔しいこともたくさんある。でも、相手を全く否定することはしない。吐き出せなかった、我慢した気持ちは、リンコのように口に出さずに編み物に込める。とても優しい人たちでした。
リンコがあまりに自然に女性で驚きました。演技力すごい。
リンコの母の作った毛糸の偽乳が、これが作品の着想のもとだったそうなのですが、とても可愛いんです。この毛糸、リンコには自分を認めて守ってくれた母の思い出があって、トモの母には両親がうまくいかなかったという思い出があるという対比も良かったです。
どこにでもある家族の話だったんだなあ。子供が大人になりきれない大人に苦労するのがちょっとつらかったけれど、幸せなシーンは輝いてました。普通って何なんだろう、ということをとても考えました。
食事がいつもながらとても美味しそうです。美味しい食事をみんなで囲むことが、幸せの象徴なんだと思います。

『この世界の片隅に』
昨年公開された本作が、地元まで公開が追いついたのは年明けでした。初日のレイトショーを見に行ったのですが、館内のお客さんは結構泣いていましたね。
構成、演出、音楽、お芝居の全てにおいて良かった。色がついて動いて喋るすずさん、本当に生きてると感じました。
原作の漫画が我が家にあったので何度も読み返してたんですが、それでも映画は新鮮。先の効果のせいかしら。映画では原作から「普通の生活」を上手に取り出して、丁寧に描いていました。
料理シーンは粗食のはずなのにお腹が空いたし、原作ではなかった(でもおそらく一般家庭ではあったであろう)部分もちゃんとすずさんらしい。
驚いたのは絵の表現。すずさんから見る世界を、映画で描き切っている。
そしてエンディングの「その後」と、リンさんの一生の演出。どこかでは入れてくると思っていたけれど、あれは良かった。
一緒に行った母が、「普通の日々にすごく泣けてしまう」と言っていました。「普通」を愛おしくなるほど丁寧に描いてくれた作品だと思います。あの頃のすずさんの見たものを、そのまま持ってきたかのようでした。永く残ってほしい作品ですね。

『有頂天家族2』
この狸たちの物語はなんて面白いのかしら……! 熱のこもったアニメ最終回視聴後の感想が残っていたので、長いけどそのまま載せます。
アニメが始まると同時に原作(文庫版)も読みました。まず原作の身悶え度が高すぎて。全部好きなシーンといってもいいくらいなんだもの。矢一郎兄さんの結婚相手、玉瀾が読む前から気になっていたのだけれど、とてもよいお姉さんでお嫁さんなんだなあ。すごく好きなタイプのキャラクター。
クライマックスの矢一郎兄さんとの「俺は阿呆だ」「だから私がいるんでしょう」のやりとりがすごく好き。
原作のラストは、矢三郎が弁天に失恋する(狸ではだめだと認めてしまう)切ない終わり方で、それはそれで好きなのだけれど。
さてアニメ。ちょいちょい削ったり順番が入れ替わってはいたけれど、ワンクールアニメとしてまとまりが非常に良い構成の仕方でした。先述の矢一郎と玉瀾のシーンは本当に良すぎて泣いた。ありがとうございますありがとうございます。
ラストに矢三郎と海星ちゃんの許嫁復活を持って来るとは。アニメのラストとしては爽やかで良かった。原作が弁天エンドなら、アニメは海星エンドといったところだろうか。アニメ11話から12話は本当に最高でした。
そして天狗バトルですよ。二代目は原作でもアニメでもかっこよかった。そして可愛かった。赤玉先生に「強うなれ」といわれて泣くシーンがすごく好きなんだなあ。
惜しむらくは、原作できゅんとした矢三郎に「友達になれないか」と言うシーンがアニメではなかったこと。これ見たかったんだけど、アニメに入れちゃうとこれまた切なくなっちゃうから、あれはあれでいいのかな。
弁天と二代目のバトルは夏の第一戦も年末の最終戦も最高でした。原作では矢三郎視点だからかなり切なげに、激しいんだろうけれどいくらかは落ち着いて読めたのが、アニメではあの激しさ。なんてかっこいいんだろう。
呉一郎がアニメ1話から登場していたので(原作では早雲の葬式からの登場)どうするのかなと思ってたのだけど、ちゃんとまとまるものだねえ。どっちの展開も良かった。
原作とアニメ両方大好きだー。有頂天家族、いつか出る第三巻も、アニメ化するといいなあ。
アニメエンディングの弁天の物語がとても良い演出で、原作既読だと「そうかあのときの」と思えるし、アニメだけでも「今まで弁天はこう動いていたのだな」と思い返せるつくりになっていて素晴らしいのです。fhanaさんの「ムーンリバー」がかなり弁天で素敵。
milktubさんのオープニングは矢三郎というか下鴨一家だね。ほんと良作。

『宝石の国』
原作漫画を一巻が出た頃から読んでいます。この美しい線の世界を、アニメではどう表現するのだろうとかなり期待していましたが、想像以上でした。
きらきら輝く! 滑らかに動く! そしてストーリーがわかりやすい! というのも、漫画はいつも数回読まないと自分なりの理解が組み立てられなかったのです。衝撃の連続と、フォスフォフィライトの姿がよく変わるので、なかなか追いつけなかったのですが。アニメを観た後にもう一度原作を読み返したとき、すんなりと頭に入ってきたのです。アニメで読み方をおさらいさせてもらった感じです。
アニメ8話の特殊エンディングも素晴らしかった。アンタークが連れ去られるあのシーンは、初見じゃないはずなのにショックでした。
原作もみんなかなり美しいのに、それがあんなにきらきらしながら動くの、アニメの作り方が本当に凄い。語彙が追いつかない。宝石たちだけでなく、アドミラビリスや月人の質感も良かった。
あの世界の再現度の高さとキャラクターの可愛らしさ美しさ。まだまだ見ていたい!


*漫画作品編

『鬼滅の刃』(吾峠呼世晴)
今年に入ってすぐの頃に、やっとまとめて読みました。聞こえてくるあらすじなどを聞く限り、きっと好みの作品だろうと思っていたのですが、遅ればせながら四巻が出たタイミングで手を出しました。
(なかなか手を出せなかったのは、昨年まで自作で集中して鬼を扱ってたから、少しでも影響を避けようとしていたためです。結論から言って、展開が読めなさ過ぎて影響も何もなく、ただもっと早く読むんだったと思っただけでした。連載開始当初から応援してる方々の熱がすごくて眩しい)
もう読んだ端からぼろぼろ泣いてしまって。だってあまりにも「慈しい」。(各所で言われてますが、このコピーすごいですね)炭治郎たちの戦いの中で、鬼たちの心がちょっと動く、あの瞬間にすっかりやられてしまったところからのスタートです。
個人的に一番ハッとしたのが鼓屋敷でして。炭治郎が床に落ちた原稿を踏まないよう避けたシーン。最新の九巻まで読んできて、たぶんあそこが最も泣いたシーンだったと思います。響凱に感情移入してしまって。彼を炭治郎が認めてくれて。(次点で煉獄さん関連かな)というか新刊が出る度に泣かされている。ギャグもキレがあってとても好きです。善逸のツッコミほんと好き。
友情、努力、勝利の超王道少年漫画。今後の展開も目が離せない!

『夜さんぽ』(木村いこ)
不安障害と呼ばれる状態があります。他人から見ればちょっとしたことが気になって怖くなったり、音や光といったあらゆる刺激に対して過敏になったりと、人によって症状は様々です(そもそも不安障害というのがとても大きい枠の呼び方なのですよね)。本作は作者である木村いこさんの、不安障害になってからの夜の散歩のお話。
読みながら何度「ああ、そうそう、こういう感じ」と頷いたことか。光刺激に敏感になったり、自律神経の不調からカフェイン中毒になってしまったり(コーヒー好きなのに)。でも時間の経過とそのあいだの支えと何かしらの楽しみや目的を持つことなどを段階的にしていって、少しずつ良くなっていくのですよね。いこさんがいろんなことを「大丈夫」になっていくにつれて、私も希望をもらったものです。
それを置いておいても、夜の散歩のわくわく感はたまりませんね。人が少ない静かな通りを、優しい光を目指して、気になるものを追いかけて、ゆっくり自分のペースで歩く。せかせか焦らず、のんびりじっくり行く。学生時代に、夜中思い立ってアパートの近くにあった歩道橋にのぼってぼーっとしてたのを、ちょっと思い出しました。ああいうの、面白いですよね。あとは冬の夜中にこっそり家を出て、町内一周してきたりとかも。人がいないから誰にも何も言われないし思われない、静かで強い刺激がない。好きなところに(行ける範囲で)自由に行ける。
漫画のふんわりとしたタッチも相まって、心に優しい作品です。

『さめない街の喫茶店』(はしゃ)
夢の中の街「ルテティア」にある喫茶店「キャトル」で、お菓子やおつまみ、軽食、たまにお酒などを作る。そうしているうちに、現実のことを、そうだったはずのことを、ゆっくりと思い出せなくなる……。
ごはんを作って街の人にふるまったり、逆に料理を教えてもらったり。主人公スズメの日々は穏やかに過ぎていくけれど、それが夢だということはわかっている。ところどころで思い出す現実のことも、だんだんぼやけてくる。
優しくほのぼのとしているのだけれど、このままだとスズメはどうなるのだろう? なんてふと考えてしまう。
好きな小説の挿絵で見て以来、偶然再会した作家さんでした。(『三ツ星商事グルメ課』シリーズ、2014年のまとめで取り上げてます。オススメ!)以前から絵柄は可愛くて、食べ物の絵は美味しそうだったけれど、本作ではさらに温かな(それでいて少し不安な)ストーリーがあって、非常に私好み。食事を丁寧に作って美味しそうに食べる作品は良いですよね。お酒もあるのがさらに良い。レシピを見るのも好きです。
いろんな想像ができる舞台設定とストーリー、そのラスト。カバー裏はきれいで切ない。
「居心地が良すぎる」街での、ゆったりとした時間を過ごしていると、美味しい朝食とコーヒー、おやつが欲しくなること間違いなしです。私も翌日忙しいのにしっかりコーヒーを淹れてしまった……。
何度でもルテティアに飛び込みたくなる、非情に中毒性の高い作品です。


以上、映像と漫画でした。メディアミックス入れたので、小説も入ってますね。
このほか、ドラマスペシャル『地味にスゴイ!DX』もとても面白かったです。えっちゃん素晴らしい。『校閲ガール』は昨年取り上げましたが、原作もドラマも本当に良いです。
『夜さんぽ』は不安障害持ちの助力でもありました。漫画そのものも面白いのに、精神的にかなり救ってもらってます。
『彼らが本気で編むときは、』はそのすぐ後に『リリーのすべて』を観て、改めて心と体の性について考えさせられました。そのうえ『チョコレートドーナツ』も思い出したりして。
『有頂天家族』に対する熱が凄まじいですね。アニメではカットされてしまった部分は脳内再生だ。あの狸たちにまた会えるのを楽しみにしています。
今年は結構映画を観る機会があったのですが、環境が変わったので来年は少なくなるかも。でも良いものはなんとか探してきて、観て考えてを続けていきたいです。
posted by 外都ユウマ at 11:17| Comment(0) | 作品鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: