2016年07月24日

文章収納しました

今月のお話をサイトギャラリーに収納しました。
暗い6本、さっくりと。


「石が住む村」
久しぶりの時渡。ぼんやりとしたお話はとわこ頼みです。

「悪態コンプレックス」
随分前に書いたものでした。
「2028/3」
気持ち悪いお話ですみません。
「いやだいやだはやはり嫌」
生理的に無理って話です。
「どうか私を」
想像力と責任を放棄する話。
「遺されたもの」
好き放題して人任せにする話。


今月は別館に全エネルギーを注いでいたので、こっちでは明るいお話のストックがなく。
来月は礼陣に帰ります。
posted by 外都ユウマ at 11:01| Comment(0) | 更新履歴 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月23日

遺されたもの

姉の葬式から帰ってきたら、一通の手紙が郵便受けに入っていた。姉からだった。
封を切ると一枚だけ便箋が入っていて、そこにパスワードが書かれていた。姉のノートパソコンを開くためのパスワードだ。このパスワードを入力しなければ、姉の使っていたパソコンの中身を見ることはできない。
これが私に送られてきたということは、姉は私に何か伝えることがあったんじゃないのか。私は実家に連絡し、姉のパソコンを至急送ってもらった。

姉はノートパソコンで、始終何かを書いている人だった。仕事が休みになれば文章を綴り、どうやら自らのサイトで公開することもしていたようだ。
それに対しては、特に何の反応もなかったと思う。少なくとも私はそう把握している。姉はひっそりと何かを書き、置きっぱなしにして、放っておかれた。それを苦にする様子はなく、むしろ当然のことであると受け止めていた。そうでなければ、ときに自分自身や他人を容赦なく引き裂くような、そんな文章を誰でも見られる状態にしておくはずもない。
あるときはシリーズものにして、小説を書いていた。何年もかけて少しずつ書いていた。私が小学生の時に書き始めたシリーズを、姉はこの二年ほどで、次々に完結させていた。「これでこのお話もおしまいです」――その文面を、そういえば長くない期間のうちに何度も見た。
ノートパソコンにそれが残されているかと思ったら、パスワードを入れて開いたそこには、ほとんど何も残っていなかった。きれいさっぱり、消えていた。
デスクトップの、ただ一つのテキストファイルを残して。
「咲へ」というファイル名から、それが私に宛てたものであることがわかった。急いでダブルクリック。そこには、ああやっぱり、姉の文章でぎっしりと書きこみがあった。
これを用意して、姉は死んでいったのだ。思えば姉は、前もって準備をしておいて、その通りに実行するという過程に満足する人だった。


咲には面倒をかけます。でも咲にしか頼めません。
以下のことをお願いします。これを読むなら、私は今度こそちゃんと死ぬことができたのでしょうから。それを他の人に知らせるための手段です。
まず、SNSのアカウントとパスワードは次の通りです。
――。
ここに、私が死んだ日付と、生前ありがとうございました、という一文を投稿してください。ここにはそれだけでいいです。
うまくいけばそのうち、ブログのほうに予約投稿しておいた記事が表示されると思うので、詳細はそこで話します。
その内容を、咲には前もって教えておきます。

私はここ数年、「終活」というものを意識していました。自分の葬儀の手配をしておくとか、そういうものではなく、自分が死ぬための準備です。
ここにあった数々のお話の、長いシリーズものは終わらせました。登場する彼らはこれからも生き続けるでしょうが、私はこれでおしまいです。
しばらく連絡をとっていなかった人と会ったり話したりしたのも、死ぬ前にその人との関係を納得のいくかたちにしておきたかったからです。私だけが納得して、安心するためのものでしたから、その節は多大なご迷惑をおかけしましたことを、心よりお詫び申し上げます。
なぜこのようなことに至ったかというと、もうこの世でやりたいことはほとんどやりきったと感じたからです。私は未熟に生まれ、未熟に育ち、人を追いかけて追いつけずに一生を過ごしてきましたが、それでも人生には満足しています。満足してしまいました。
もうこれ以上はないと思ったのです。だから、清算して終わらせることにしました。
この文章を見ているということは、すでに全てが終わっているということになります。
生前はありがとうございました。
これをもって、このブログの最後の記事とさせていただきます。

と、こんな感じのことを書いておきました。
咲やみんなは驚いているかもしれないし、いつかそうなるだろうとどこかで思っていたかもしれないけれど。私は自分で自分を終わらせることを選びました。
つらくてそうするのではなく、もうこれでいいと判断したからです。だから、原因をさがすとか、そういうことはしなくてもいいと、父と母には伝えてください。
役に立たない、最後まで世話の焼ける姉でごめんね。私は自分で自慢できることは何にもないけれど、咲たちのことは何度となく自慢してきました。それだけ私がだめで、咲たちが偉かったのです。
だめな私の、これが限界です。ここまでです。幸せだったと思います。
それじゃ、さようなら。
あとはよろしくね、咲。


マイペースといえば聞こえはいいが、姉は身勝手な性格だった。人より歩みが遅れがちで、けれどもそれを補おうとはしなかった。自分さえ満足すればそれでいい、そういう人だった。
だからこんな面倒を私に押し付けて、さっさといってしまったのだろう。もっと、ましなやりかたが、あったはずなのに。それを考えなかったのは、姉の怠慢だ。
手首を切っても、首を吊ろうとしても、うまくいかなかったのは知っている。唯一これならと思ったのが、溜めておいた睡眠薬をアルコールでのんで、雪の中に寝るというやりかただったのだ。以前、酔っぱらって気絶して、目が覚めたら夜中になっていたという話をしていたっけ。それを応用したのだ。
姉はいなくなるのだから、それでいいのかもしれないけれど。あとに遺った私たちがどれだけ迷惑したか、この人は知らない。知ることができない。それが無性に腹立たしかった。
私は二度と姉を許さないだろう。でも、この怒りをぶつけることは、もうかなわない。姉の身勝手のせいで、私は、私たちは、この記憶を死ぬまで持っていなくてはならなくなった。
楽しかったと言っていた旅行、久しぶりに電話で知人と話したと言っていたこと、何年もかけて作品を完結させたということ、全部楽しそうに、嬉しそうに語っていたのに、それは全部姉が自分を終わらせるためだったなんて。そのためのプロセスを順調に踏めたことに満足していて、だから笑っていたなんて。
最後の頼みとやらを私が実行すれば、姉の目的は全て達成されたことになる。でも、姉の死を知人が知らないままというのもどうかと思う。知人はほとんど遠くの人で、姉の日常はそれこそSNSでしか知らないのだ。
ブログが公開になるまで、待とうか。もう、スケジュール管理をしたがる姉はいないのだし。
私だって、巻き込まれる筋合いはない。
私はテキストファイルを削除してから、パソコンを閉じた。パスワードが書かれた便箋は破り捨てた。これで本当にさようなら。
ひとりよがりな私の姉は、もうどこにもいなくなった。



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posted by 外都ユウマ at 14:07| Comment(0) | 創作文章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月18日

どうか私を

不謹慎な願望のお話、ワンクッション。
逃亡癖の行く末。




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posted by 外都ユウマ at 13:23| Comment(0) | 創作文章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月17日

いやだいやだはやはり嫌

対人嫌悪感のお話です。ワンクッション。




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2016年07月10日

2028/3

暴力、猟奇表現ありますのでワンクッション。子供が惨いことになるお話です。
気分を著しく害することがあります。また、本作は現実と何の関係もありません。




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posted by 外都ユウマ at 15:36| Comment(0) | 創作文章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月03日

石が住む村

外国の、小さな村のようでした。土壁の家が並び、地面は舗装されておらず、人の声が聞こえます。けれどもそこが私の住む世界ではないということは、すぐにわかりました。
人間がいないのです。正しくは、私と同じ人間のかたちをしたものがいないのでした。ここで生活をしているのは、手足がにょっきりと生えた、石でした。
さまざまな石がいました。大きいもの、小さいもの、ざらざらしていそうなもの、きらきら光っているもの。彼らはそれが当たり前のことであるというように、土の町で暮らしていました。
私の姿は見えないようです。いろいろな世界を見てきたので、ときどき自分がいないことになるのは、もう慣れました。いない方がいいからそうなるのです。私は、いない。
だから勝手に家に入っても、誰も何も言いません。普通の生活を続けています。私はこの世界をよく観察していかなければなりませんので、あちらこちらを歩きまわりました。
ふと、小さくて角の尖った石が目に入りました。似たような石はたくさんあるのに、私はそれに強く惹きつけられました。誰にも見えないのでかまわず後をつけてみます。その石も私には気づきませんでした。
石は、他のたくさんの石たちと、会話をしませんでした。この世界の石たちは人の声で喋ることができるのですが、その石だけはずっと黙りこくっていました。そうしてふと立ち止まっては、誰もいない道を選んで、また歩き出すのです。
この石はどこへ向かうのでしょう。ひたすらについていくと、やがてぽっかりとひらけた場所に出ました。家はありません。石たちもいません。何もないところで、石はひとりきり、いいえ、私と二人きりでした。
私はしゃがんで、石を見つめます。石は立ち竦んだままでした。
目がどこにあるのかはわからないけれど、たぶん空を見ているのだなと思いました。空は私が知っているのと同じ、澄み切った青い色をしています。天気がいい、といえるでしょう。
「今日で良かった」
すぐ近くで声がしました。石でした。やっと喋ったのです。不思議なことに、私の声に似ていました。録音して聞いた私の声です。たしか、音楽の時間に、そういうことをしました。
石は私の声で続けます。
「砕けるなら、天気が良い日がいいと思ってたの。誰もが空に見惚れて、私のことなんか忘れているうちに、砕けてしまいたかった」
私のことはやはり見えていないようです。この石の独り言なのでしょうが、まるで誰かに語りかけているようでした。
もし私なら、と考えます。……語る相手は、自分かもしれません。私は毎日頭の中で、そういうことをしていましたから。
「このまま忘れたままならいいな。私のことなんか忘れたほうが、みんな幸せに生きられるもの。私はみんなを傷つけすぎた」
手でそっと自分の尖ったところを撫でて、石は言いました。その手は突然、ぽろり、と地面に落ちました。落ちた手は、さらさらと砂のように崩れて、なくなってしまいました。
もう片方の手も、落ちました。そして同じように消えていきます。
「じゃあね」
誰に言ったわけでもないその言葉のあとに、足が片方ずつなくなりました。石は、ただの石になりました。地面に転がっている、私もよく知っている石です。
触ってみようと手を伸ばすと、石は割れました。細かく砕けて砂利になりました。
ふと地面を見渡すと、細かい砂利が一面に広がっています。みんなさっきの石のように、ここに来て砕けたのだと、私にはわかりました。
ここは、石たちの墓場だったのです。

たくさんの石が、ここで最期を迎えたのかもしれません。私たち人間がそうであるように、この世界の石たちは、色々なことを思いながら、この場所で砕けるのでしょう。自分にその時が来ると、そうなる前に知るのです。
なくなることを予知できる、という点では、私たちとは違うかもしれません。私たちは自分がいなくなることを、自分で選ばない限りは、ときに選ぼうとしても、正確に覚ることはできないような気がします。それとも、私だけでしょうか。
そしてそのときが来れば、どんなに抗っても逃げられないのです。
この世界の石たちは、自分がなくなることを知ると、そのための場所に自分で向かいます。消えると知っているのに、逃げません。そのまま受け入れるようです。……いいえ、少し違うかもしれません。だって、最後に喋っていました。自分に語りかけていました。
たぶん、納得させるために。消えても仕方ないのだと、消えたほうがいいのだと。
でも、忘れてほしいと願ったのは、何故でしょうか。
たくさんの世界を巡ってきましたが、私にはまだ分からないことがたくさんありました。

石が、またやってくるのが見えます。今度はどんなふうに消えるのでしょう。
もう少し見てから、ここを離れようと思いました。



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posted by 外都ユウマ at 12:25| Comment(0) | 創作文章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年07月02日

悪態コンプレックス

精神的グロテスク及び精神的暴力のシーンがあるというかそれしかないのでワンクッション。
気分の良い時の閲覧はお勧めしません。確実に気分を害します。



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posted by 外都ユウマ at 15:00| Comment(0) | 創作文章 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする