2014年12月31日

2014年作品鑑賞ベスト 文芸作品編

再びこんにちは、外都ユウマです。2014年のイチオシ作品鑑賞文、こちらは「文芸作品編」でございます。
今年は「読みの年」でした。1月から12月までに読んだ冊数は84冊。特に夏は同じ作家さんの作品をまとめて買ってきて読むということをしていたせいで、6月から8月までに37冊読んでいました。
ページをめくる手が止まらない。休み時間に読書ができる仕事環境を得たことも手伝って、とにかく食べるように読む。ちゃんと味わってますよ。……そういえば、食べ物が美味しそうな作品はたくさん読みましたね。おやつのエッセイとか。食事シーンが素敵な小説とか。
さて、その中から9作品(シリーズものは1作品にまとめました)選んでみました。今年は身内の薦めでミステリーなどにも手を出したり、安定して好きな作家さんを追っかけていたり、選ぶ間も巡る巡る物語。やっぱり、本が大好きです、私。
それでは文芸作品編スタートです! 「私が2014年に楽しんだ作品」ですので、刊行年は気にしてません。今年出た本が多めにはなっていますが。
著者敬称略につき、ご了承ください。


『青空の卵』『仔羊の巣』『動物園の鳥』(坂木司/東京創元社)
今年ハマって抜け出せなくなった「坂木先生作品沼」の始まりです。「ひきこもり探偵三部作」として有名ですね。
私がミステリーを読もうと思ったきっかけです。特に坂木先生の書かれる日常ミステリーにはまんまとハマりました。身内の薦めが今年の一大ブームになるとは。
主人公・坂木の探偵役・鳥井に対する依存が、どんどん広がっていく人間関係をきっかけとして変化していくのが見どころです。三作読み終えるのがあっという間でした。
ときどき他作にキャラクターが出張しているので、そのあたりに「町・街」的な繋がりを感じられるのも面白いです。出てくる食べ物もいちいち美味しそうなんですよね。

『日乃出が走る 浜風屋菓子話』(中島久枝/ポプラ社)
時は明治初期。潰えてしまった大店菓子屋の娘・日乃出が、菓子を作って百日で百両をつくるという大勝負に出ます。
日乃出の父が作りだした幻の菓子「薄紅」の正体を探りながら読むのが楽しい、ミステリー要素もある作品です。キャラクターも魅力的で、強く逞しい女の子日乃出も素敵ですが、私のイチオシは舞台となる菓子屋・浜風屋の自由人、純也さん。
和洋入り混じる明治を舞台に、菓子の世界を味わいましょう。今年のうちに続刊も出て、こちらは浜風屋の行く末にはらはらさせられました。和菓子も洋菓子も、どっちも魅力がありますよね。

『三ツ星商事グルメ課のおいしい仕事』『三ツ星商事グルメ課のうまい話』(百波秋丸/アスキー・メディアワークス)
大きな商社が舞台の、お仕事ものでありグルメもの。実在のお店が登場するので、ちょっと東京に行ってみたくなります。
グループリソースメンテナンス課略してグルメ課が、社内のトラブルを外食で解決していく物語は、頭の中で実写ドラマのように再生されていきます。最後にそれまでの働きが一つになるところは、とても気持ちが良い。あれもこれも全部このための伏線か! と感動させられます。
イケメンと美味しい食事と、広がっていく人間関係。こんな職場で働いてみたい……かも? ああ、主人公のひなのさんが羨ましい。

『予言村の転校生』(堀川アサコ/文藝春秋)
今の気分はミステリー? ファンタジー? 社会派? 青春? それ全部、この作品で楽しめます。なんて贅沢な作品!
田舎の村「こよみ村」にやってきた主人公・奈央が不思議な出来事に遭遇し、その正体を探っていくというストーリー。現実的な事件と、不可思議なファンタジーがちょうど良いバランスで、読み終わった後も余韻が気持ちいい。あれだけの要素を詰め込んで面白く読めるのはすごい。
他作も現実と幻想のバランスが良いものばかりで、良い作家さんに出会えたなあと思いました。
キャラクターも魅力的。終盤の奈央には惚れます。惚れても仕方ないです。

『お近くの奇譚 カタリベと、現代民話と謎解き茶話会』(地図十行路/アスキー・メディアワークス)
町の不思議な噂などを「現代民話」として収集し、その噂が生まれることとなった原因を、お茶とお菓子を用意しながら解き明かす。伝奇と「町・街」が大好きな私のツボに見事に合致した作品です。
ハルと久路、「カタリベ」招の真剣なのにどこかのんびりとした空気の漂う茶話会が素敵。物語の舞台である異角の土地に、迷い込んでみたくなること間違いなしです。ちょっぴり不思議で、ちょっぴり怖い、でもやっぱりこの土地が好きになる。ハルの「郷土愛」に感化され、久路の「どこかに迷い込みたい」欲に引き込まれます。
よく作中に登場する土地に行ってみたいと思うのですが、この作品でそれが増えました。

『カフェかもめ亭 猫たちのいる時間』(村山早紀/ポプラ社)
猫は魔法が使えるんです。猫好きさんにはぜひともおすすめしたいこちらの作品。あなたのそばの猫も、もしかしたら魔法使いかも。
風早の街にあるカフェかもめ亭を訪れた不思議なお客様の語るお話と、マスター広海さんの記憶。自動ピアノが奏でる音楽と、ホッとさせてくれる飲み物。物語がゆったりとした時間をもたらしてくれます。
心が温まるお話も、少し切なくなるようなお話も、ぜひ温かな飲み物を用意して味わってみてください。
私は一話目から涙が止まりませんでした。夜中にぼろぼろ泣きながら読んだ日のことは忘れられません。

『その本の物語 上・下』(村山早紀/ポプラ社)
今年のベスト・ファンタジー。児童書『風の丘のルルー』シリーズに、かつてその本を読んで成長した少女の物語を添わせた作品です。
なぜリアルタイムで『風の丘のルルー』シリーズを読んでいなかったのか、むしろ今だから読むべきなのか、と何度も考え読み返しました。
魔女の子ルルーは温かい気持ちも辛い思いも背負い、それでも人間を愛して生きていく。かつて少女だった南波は、大切な友人への想いと後悔を抱えながら物語を朗読し続ける。そうして起こる奇跡は、きっと必然だったのでしょう。
人間の美しさも暗い部分も、まとめて愛おしく思わせてくれる作品です。風早の街のファンなら、千鶴先生の言葉も必見。あれはきっと、いつかの私がほしかった言葉でした。私もまた、物語に救われたのです。

『午前0時のラジオ局』(村山仁志/PHP研究所)
おそらく今年一番人に薦めた作品ではないでしょうか。普段本を読まない人にも、これは読んだほうがいいと強く推してました。読みやすいんですよね。
若いアナウンサーに、謎を秘めた内気なアシスタント、そして幽霊ディレクターでお送りする深夜のラジオ。そこに届く光るメッセージ。夢に踏み出す力も、心温まる感動も、この作品に詰まっています。
そしてまだ謎は残っている……! 来年初めに第二巻が刊行予定です。これは嬉しい。
漫画編でもラジオもの取りあげましたし、今年はラジオにも縁があったのかもしれません。

『カブキブ!』(榎田ユウリ/角川書店)
高校生になった少年が作ろうとした部活は「歌舞伎部」。大好きな、楽しい歌舞伎を、仲間と一緒に演じたい。舞台をつくりあげたい。そんな始まりの青春ストーリーです。
とにかくキャラクターが魅力的。一人一人がそれぞれプロフェッショナルで、性格もかなり濃い。少年漫画を読んでいるような気持ちになります。
続きが気になってどんどん読み進めてしまったのですが、現在出ているのは三巻まで。ここまでで登場人物の抱える事情もほぼ出揃うのですが、今後の展開も気になります。
私のイチオシは主人公・クロ。一巻職員室で先生を台詞で説得するシーンは必見です。


以上、9作品でした。ミステリーからファンタジー、青春物まで、今年はたくさん楽しむことができました。やっぱり本は面白い。取り上げたもののうち2作品は身内から借りて読みました。薦めてもらうのも嬉しいものです。

さて、12月19日に、私が長く作品を好きだった、作家の香月日輪先生がお亡くなりになりました。
『地獄堂霊界通信』シリーズに始まり、『妖怪アパートの幽雅な日常』などたくさんの作品を書かれ、おそらく私が最も影響を受けた作家さんでした。考えること、想像することの大切さを私に最初に教えてくれたのは、香月先生の作品だったように思います。
素晴らしい作品を数多く生み出してくださり、ありがとうございました。心よりご冥福をお祈り申し上げます。
今年読んだ中では、『大江戸妖怪かわら版』が良かったなあ。雀ちゃん本当に好き。太夫がかっこよかった。

来年はどんな作品に出会えるでしょうか。今年のような読みの波ががまた来るかどうかはわかりませんが、たくさん読めたらいいなと思っています。香月先生の作品だってまだ全部読み切れたわけじゃないですし。現在、出たばかりの文庫を読んでいるところです。
すでに1月と3月に刊行予定の読みたい本が決まっているのが嬉しいところ。シリーズものの続刊も楽しみですね。
今年はテーマごとの作品鑑賞文がなかなか書けなかったので、こうして総まとめ的に一気に「2014年のイチオシ」として出しましたが、またテーマも決めてやりたいですね。この作品の世界でこんなことをしてみたい、こんなことを考えた、というのも、じっくり考えてできたら面白いだろうな。
それでは良いお年を。そして2015年も、良い作品鑑賞ライフを送れますように!
posted by 外都ユウマ at 15:08| Comment(0) | 作品鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2014年作品鑑賞ベスト 漫画・映像作品編

こんにちは、外都ユウマです。2014年もいよいよ終わりですが、年末いかがお過ごしでしょうか。
今年は休みになるとお話を書いてブログにあげる、ということばかりしていて、なかなか作品鑑賞文カテゴリの記事を増やすことができませんでした。昨年はテーマを決めて好きな作品について語ったり紹介させていただいたりしていたのですが、今年は読んだものからツイッターで一言感想を呟くことが主になっていました。
それが同じ作品を好きな方や、作品に関わった方の目にとめていただき、お気に入り登録やリツイートなどしていただきました。本当にありがとうございます。

さて、今回の記事はその中でも今年のイチオシを語ります。本記事「漫画・映像作品編」ともう一つ「文芸作品編」に分けてお送りいたします。2014年の総まとめ、あなたにおすすめしたい、一緒に語り明かしたい作品をずらりと並べておりますので、お付き合いくだされば幸いです。
なお、あくまで「私が2014年に楽しんだ作品」ですので、発表年はあまり関係ありません。
それでは漫画・映像作品編からスタートです!
著者敬称略につき、ご了承ください。


*漫画編*
ほのぼの系からシリアスな実録、ちょっぴりホラーなものまで8作品選びました。漫画に関してはなかなかツイッターで呟かないので(多すぎてキリがなくなるから)、ここで好みをさらします。

『満ちても欠けても』(水谷フーカ/講談社)
ラジオを巡る人々を描いたオムニバス。アナウンサーだったり、ディレクターだったり、リスナーだったり、色々な人にとっての「ラジオ」がラブや成長物語も含めて描かれています。
読んだらきっとラジオが気になる、好きになる。ラジオを通しての人とのつながりを、心温まるストーリーで感じることができます。
作中番組「ミッドナイトムーン」、是非聴いてみたい。私のイチオシキャラクターはアナウンサーの天羽さん。番組を聴いてたらファンになってる自信あります。伸びしろのある花ちゃんも好き。

『孤食ロボット』(岩岡ヒサエ/集英社)
独り暮らしの人のところへやってきて、食生活をサポートしてくれる、妙に人間くさいロボットがいたら……。
実はかなり前に雑誌で見かけてから、単行本化を心待ちにしていた作品でした。
見た目は可愛くて、ときどき口うるさくて、いないとやっぱり寂しくて。そんなロボット、実家暮らしの私も欲しいです。この子来るならポイント貯めるわ……。
基本的にはオムニバス。人々とロボットの生活を、あなたも覗いてみてはいかがでしょうか。

『ワカコ酒』(新久千映/徳間書店)
26歳の誕生日、ずっと気になっていたこの作品を読んだら、主人公ワカコさんも26歳でした。でもワカコさんは私と違ってしっかり社会人していて、一人酒できちゃうかっこいい大人なのでした。
おつまみを用意して、まったりとお酒を飲みたくなる作品。居酒屋さんに行くとカウンター席が輝いて見える。胃の具合が回復したら、また日本酒飲みたいなあ。美味しい奴を、大根おろし付玉子焼きで……ぷしゅー! ああ、憧れ。
一月からドラマも始まるそうですね。チェックしておこうかしら。

『死にたがり少女と食人鬼さん』(Oはぎ/一迅社)
アルビノ少女と人肉(骨もか)しか食べられない青年の、ちょっと狂気な純愛物語。登場する人々がみなさん可愛いのです。
Pixivでの連載を追いかけていたので、書籍化して「これで手元に置いておける」と喜んだものです。
特殊な人々が集まっておりますが、白ちゃんも色人も純粋なので、これは間違いなく純愛です。人が死んでもピュアラブストーリーです。今後の展開が気になるところ。

『死んで生き返りましたれぽ』(村上竹尾/双葉社)
こちらもPixiv掲載時から追いかけておりました、実録漫画の書籍版。一目見て衝撃的なタイトルに、辛くも少しずつ快復していく著者の記録。この作品が描かれているということは、また描くようになったんだ、と思いながら読んでおりました。
当たり前にあるものの大切さを感じた、というのは私の身内の感想です。生きることは厳しく、時に著者のように死にかけることも、もしかしたら数分後にでも死んでしまうかもしれない。でも人間はやっぱり優しいんだと思わせてくれた記録でした。

『あの子の家』(クマザワキミコ/徳間書店)
ひとりになる? だれかと居続ける? 快適さに身を任せるだけの時間、自分の中で何かが死んでいく。
小さな女の子視点のゆったりしたリズムで描かれる哲学のようなお話。ひとりになるってどんな感じなんだろう、とふと思う人は、実は多いんじゃないでしょうか。ひとりの切なさも、自分で何でもやることのちょっぴりのわくわくも、なんだかわかる気がするのです。
とりあえず、家出にお気に入りのパンツは必須。帰る場所をなくすなら、なおさら。

『詭弁学派四ツ谷先輩の怪談。』(古舘春一/集英社)
今年『ハイキュー!!』がアニメ化して大ヒットしましたが、こちらも面白いです。古舘先生の「語り方」に惹かれました。
その「語り」が際立つこの作品。「怪談」というただでさえ魅力的なものを、条件を整え、より効果的に表現する。そのやりかたがもうわくわくしますね。頭のネジ飛んじゃってる登場人物たちも好きです。キャラクターが丁寧に描かれているのも古舘先生の作品の魅力ですよね。
巻き込まれヒロインまことちゃん可愛い。『ハイキュー!!』に中島家出たときは思わずにやり。

『燐寸少女』(鈴木小波/角川書店)
あなたの妄想を具現化するマッチ、対価は寿命一年分。鈴木先生のちょっぴりダークな世界観、大好きです。
本作は感動するお話もあって、久しぶりに漫画でぼろぼろ泣きました。同じくらいゾクゾクもしましたが。
妄想を具現化させて満足できるか、願望に昇華させてとんでもないことを引き起こすか、それはマッチを手にした人次第。
さあ、「マッチはいりませんか?」レトロでおしゃれでステキですよ。

来年は、読んだ漫画の記録もちゃんとつけようと思います。
とにかく買って読む冊数が多いので(続きものと衝動買いと作家さん買いと……)感想は持っても残してこなかったのですが、名作があるのは間違いないので、いつでも取り出せるようにしておきたいです。


*映像編*
今年はあまり映像作品を観ていませんでした。けれどもとても面白い映像作品に出会えました。それが「ボリウッド」インド映画です。多くの作品は時間がないと最後まで観られない長さで、必ずといって良いほど歌と踊りが入るのですが、パターン化しても飽きずに観られてしまうのです。インドすごい。

『きっと、うまくいく』(ラージクマール・ヒラーニ)
とても話題になったインド映画なので、ご存知の方も多いのでは。もちろんインドなので歌って踊るのですが、ストーリーが素晴らしかった!
生まれたときからなるべきものを、進む道を決められてきた工大生たちが、ある友人と出会いおバカなことをしながら、人生観を変えていきます。行方をくらませたその友人を捜しながら、思い出を振り返るかたちで、ストーリーが展開されます。
「うまくい〜く」が合言葉。その先には最高の未来が。三時間、3バカでたっぷり笑ってください。

『スタンリーのお弁当箱』(アモール・グプテ)
インド映画にしては短い、一時間半で観られる作品。ですが内容は詰まってます。
お弁当をみんなに分けてもらう生徒と、生徒の持って来るお弁当を狙う先生の笑える駆け引き。とにかく主人公スタンリーにお弁当を分けてあげながら一緒に食べるために、画策する生徒が可愛い。
一方で、インドの子供たちが抱える現実的な問題も描かれています。全篇通して見逃せない作品であるのは間違いないでしょう。
監督が先生役で登場しています。

他にもいろいろ観たのですが、選ぶとしたらこの二作。インド映画にはやられました。まだ観ていない方は、お時間のあるときにぜひ。
来年は気になる映画がいくつかあるので、もっと映画館に足を運ぼうかと思っています。


以上、「漫画・映像作品編」でした。来年はどんな作品に出会えるでしょうか。きっとまた漫画を大量に買って、置き場所に困るんだろうなあとは思っています。
あなたのおすすめも教えてくださいね。
それでは「文芸作品編」もよろしくお願いいたします。
posted by 外都ユウマ at 14:58| Comment(0) | 作品鑑賞 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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